11月29日の品川プリンスホテル Club eXにて、ニンテンドーDSを使った書籍・映像のダウンロード販売サービス「DSvision」の発表会が開催された。
日本最大手の印刷会社である大日本印刷が、ゲームボーイ向けの映像ソフト製作の実績を持つ株式会社am3へ資本提供を行うことで実現した「DSvision」事業。ニンテンドーDSの新しいビジネスモデルを提唱した、この発表会の模様をお伝えする。
この発表会で最初に登場したのは、大日本印刷 常務取締役である西村達也氏。西村氏は
「大日本印刷は印刷業だけでなく、パソコンや携帯電話向けにコンテンツを加工・提供を行ってきました。この度、その技術をmicroSDやニンテンドーDSと言った新しいメディアを活用することにより、出版社様を始めとする多くのコンテンツホルダー様の事業領域の拡大に少なからず貢献できるものと確信しております」
と、「DSvision」事業を開始するに至った理由を説明。
引き続き、株式会社am3の代表取締役社長である竹内裕司氏も
「2000万台普及し、様々な層に支持されているニンテンドーDSは、新しいコンテンツプラットフォームとして各方面から大変注目されています。そこで、私たちはニンテンドーDSを使った配信ビジネスを進めて参ります」
と発言。また、任天堂が技術協力を行っていることも併せて発表した。
その後は、経営コンサルタントとして多方面で活躍中のショーンK氏をゲストに迎え、am3の澤居大介氏との対談形式で「DSvision」の関連情報の説明が行われた。
最初に説明されたのは、「DSvision」のコンセプト「"最強"、"最小"、"最大"のプラットフォーム」について。
このコンセプトは、販売数と所持者の年齢数では他の追随を許さない「最強」のハード・ニンテンドーDSで、「最小」の記録媒体である「microSDカード」を使用し、そして日本「最大」のコンテンツ数を揃えて展開するということを意味しているという。
続けて発表された「DSvision」の配信システムは、自宅のPCや店頭などから「DSvision メガストア」へアクセスし、希望のコンテンツを専用の「DSvision microSD」にダウンロードするというもの。その後、「DSvision microSD」をDSカードサイズの「DSvision アダプター」に収納し、ニンテンドーDS本体で再生するという流れになる。また、会場では澤居氏が実際にニンテンドーDSを使用して映画の予告編を再生し、来場者にその滑らかな再生能力を披露していた。
気になる「DSvision microSD」へダウンロードできるコンテンツ数だが、2GBの場合は書籍なら4000冊分、コミックであれば200冊分、映画であれば16本分もの大量のコンテンツがダウンロードすることが可能。また、ダウンロードできるコンテンツには、「DSvision microSD」と「DSvision アダプター」、そして各種メニューが連動する強固な著作権保護機能が備わっているため、各コンテンツプロパイダーも安心してコンテンツを提供できる仕組みになっている点もアピールされていた。
また、ダウンロード可能なタイトル数は、サービス開始時には300タイトル、会員数20万人、ダウンロード回数300万回を目標とし、また、2010年に1万タイトルを揃え、ダウンロード回数も2000万に達することを目標としている発表。並びに、日本最大手の通信会社・NTT東日本とのタイアップによって、NTT東日本のフレッツサービスと絡めたタイアッププロモーションを行っていくことも合わせて発表された。
なお、本格的なサービス開始は2008年3月より開始予定。それに先立ち、2008年1月には「DSvision microSD(512MB)」と「DSvision アダプター」、そしてUSBリーダーライターのセットを3980円(税込)で販売する予定だ。
最後に行われた質疑応答では「価格はコンテンツ次第だが、携帯電話のものと同様、上限でも1000円くらいに抑えたい」、「支払いはクレジットカードなど一般的な形式を用意する予定」、「当面は、ゲームの配信は計画していない」などより詳細な回答も行われ、サービスの準備が着々と進みつつあることを感じさせた。
ニンテンドーDSというハードは、ゲーム機としてはもちろん、勉強やレシピといったゲーム以外のソフトや、ブラウザやワンセグTVなどの様々な周辺機器の登場により、その可能性はますます広がりつつある。この度発表された「DSvision」は、その流れをより加速させることだろう。
日本では、携帯機器に文章や映像をダウンロードするというビジネスは今ひとつ浸透してこなかったが、その一因は肝心の端末が普及していなかったことにある。2000万以上ものニンテンドーDSユーザーが対象となる「DSvision」のサービスが開始されれば、日本でも「コンテンツを端末にダウンロードして楽しむ」という行為が、一般的なものなるのかも知れない。
そんな日本人のライフスタイルの変貌を予感させる、可能性に満ちた発表会であった。今後のサービス展開に期待したい。
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