このように現在絶好調の任天堂プラットホームだが、岩田社長は同じようなアプローチを漫然と進めていくだけでは必ず飽きられる、一過性で終わらせないための施策「ゲーム人口拡大 第3のステップ」が必要と語り、Wii立ち上げ当初に掲げていた目標3点、
について現状を語った。
現状、家族とゲーム機の関係、テレビとゲーム機の関係については、一定の手応えを感じているが、インターネットとテレビの関係についてはまだ施策が不十分とし、現状では半分以上のユーザーがインターネットに接続していない状況を変えるため、NTT東日本・西日本との協業によりネット接続環境を整備。コールセンターやセットアップなどのサービスを行うと発表した。(詳細については、後日発表とのこと)
また、インターネット接続率の向上以外にも、ゲーム人口拡大のために行う施策について、下記のように発表した。
すでに有償ダウンロード数780万を超えるバーチャルコンソールをはじめとするダウンロード販売については、ある程度の実績を獲得したと説明し、旧作タイトルの販売以外のWiiオリジナル販売チャンネル「Wiiウェア」を提供すると発表した。
これは、肥大化していくソフト販売のリスク、パッケージ販売の持つ価格とボリュームの弾力性の課題などを解消する、新たな販売方法の確立を目指すものだ。
ソフトの内容応じて柔軟な価格設定が行え、在庫の制約がなく機会損失が無いこのサービスは、パッケージ販売を補完するもの。
Wiiウェアはパズルゲームやミニゲーム以外にも、専用タイトルとして「小さな王様と約束の国 ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル」というような、大作ソフトもリリースされる。Wiiウェアについては、海外メーカーを含めるとすでに100タイトル以上の提案がされているとのことだ。
「Miiコンテストチャンネル」は、Miiを投稿したりコンテストに参加させたりすることができる新チャンネル。
お題にそったMiiを投稿したり、投稿されたMiiに投票を行ったりすることが可能となる。また、公開されたMiiを自分のWiiへ持ち帰ることも可能とのことだ。
「みんなのニンテンドーチャンネル」は、ニンテンドーDSとWiiの情報をユーザーへ伝えるためのチャンネル。最新のプロモーションムービーを見たり、Wiiを経由してニンテンドーDSへ新作ソフトの体験版をダウンロードすることも可能だ。
さらに、購入者からのアンケートを集計することで、自分にあったタイトルを探すことができることが可能になるとのことだ。
岩田社長は現在のゲームソフト開発の状況について、
「細分化することで商品を揃えていったが、それでは対象が狭まりゲームイヤーの数が減っていってしまっていた。かつてのシューティングゲーム、格闘ゲームを思い出してほしい」
と現在の開発の問題点を言及。
それに対して任天堂が導き出した回答は、「ゲーム熟練者、初心者両方に満足させるタイトルをつくること」であるとし、その課題を真っ正面から取り組んだタイトルが「ゼルダの伝説 夢幻の砂時計」であると語った。
結果として、「ゼルダの伝説 夢幻の砂時計」は、長期間による高い売り上げを記録。ユーザー層もこれまでのゼルダから大引く広がり、さらに女性層も大きく取り込む結果になったという。
この、「初心者と熟練者の壁を取り払う」という取り組みで生まれたタイトルが、Wiiで2007年11月1日に発売する「スーパーマリオギャラクシー」であり、さらに続く「マリオ&ソニック AT 北京オリンピック」「Wiiフィット」「マリオカート Wii」「Wiiミュージック」というタイトルという。
発売が近づく「スーパーマリオギャラクシー」は、これまでゲーム初心者が遊ぶことは無理と言われていた3Dアクションをプレイしてもらえるように、徹底的にこだわって制作しているという。また、ゲーム熟練者も満足してもらえるようなボリュームを用意しているとのことだ。
岩田社長は、
「22年前のファミコン「スーパーマリオ」時代には、家族みんながコントローラーを奪い合うようにしてゲームをさわっていたが、今回、リビングルームで複数の人が参加するアクションマリオの新しい姿になることを期待している」
とコメント。その仕上がりに自信を持っている様子だった。
「大乱闘スマッシュブラザーズ X」については、発売が2007年1月24日に延期となった。延期の原因に対し、「みなさんに満足いただくための作り込みのため」と岩田社長は説明、陳謝した。また、セガの看板キャラクター、ソニック・ザ・ヘッジホッグの登場も発表された。
「任天堂の歴史が詰まっている」と岩田社長が語る「スマブラX」に、かつて熾烈なハード合戦を繰り広げた任天堂とセガの看板キャラクターが同時に登場するということに、感慨深いファンも多いことだろう。
また、「モンスターハンター」シリーズ最新作は、正式にPS3からWiiへプラットホームを移し、「モンスターハンター3(トライ)」として発売されることが発表され、カプコン 常務執行役員である稲船敬二氏からのメッセージも公開された。
稲船氏のコメント
「Wiiでモンスターハンターを発表しましたが、2(ドス)に続く正当な続編3(トライ)ということで、今回公開した映像もWii実機上で制作したものです。スタッフが一所懸命制作しています。Wiiのコントローラーでモンスターハンターを思う存分楽しんでいただけたらと思います。期待していてください」
最後に岩田社長は、既存のマーケットをニンテンドックスや脳トレなどで「ゲームの定義」と「ユーザー層」両面を広げていったことが、「ニュースーパーマリオ」や「おいでよ どうぶつの森」といった400万本超のタイトル連発という、通常ではあり得ないことが起こったと説明。
拡大し活性化した市場からつぎつぎと新しい需要を生み出されたことこそ、現在の任天堂好調の原動力と語り、最後にこう締めくくった。
「今年ニンテンドーは、Wiiフィットでゲームの定義のさらなる拡大、そしてユーザー拡大にチャレンジをしていきます」
任天堂が描くゲームの拡大は、まだまだ続きそうだ。
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