充電器の上に置くだけでデジタル機器が充電できる「ワイヤレス急速充電システム」を村田製作所とセイコーエプソンが共同で開発した。両社は3年後の実用化を目指す。また、試作品を10月2日より幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2007」で展示する。
エプソンのワイヤレス充電技術と、村田製作所の高速充電バッテリー技術を組み合わせた。携帯電話で使われている電池程度の容量であれば、約15分でフル充電が可能だ。
機器を充電する場合は充電コードに接続するのが一般的だが、両社が開発したシステムであれば、充電器の上に載せるだけで充電できる。このため利便性が向上するほか、1つの充電器で複数の機器を充電でき、ケーブルの管理などが要らなくなる。
エプソンはこれまでも無接点電力伝送システムを開発しており、今回新たに伝送効率の高いモジュールを開発した。既存のモジュールは伝送効率が30%程度と低く、急速充電すると発熱してしまう危険性があった。今回開発したモジュールは同70%と、伝送ケーブルをつないだときとほぼ変わらない。これにより、充電時間を短縮し、発熱を抑えることに成功した。
村田製作所はエナックスからリチウムイオン二次電池技術の供与を受け、新規事業の1つとして進めている。携帯電話など小型機器はより長く利用できることが求められており、各社は電池の大容量化を進めている。ただ、村田製作所では「容量を増やさなくても、短期間で気軽に充電できるものができればいいのではないか」と発想を転換し、ワイヤレス急速充電システムの開発に乗り出した。両社は2006年6月ごろから検討を進め、今回の試作機開発に至った。
ターゲットとしている機器は「モバイル」(村田製作所)といい、携帯電話やPDA、小型PCなどを想定しているようだ。ただし「あまり用途を絞り込んでいるわけではない」といい、さまざまな機器での採用を狙っている。
安全対策については、充電器と対応機器にそれぞれIDを持たせ、認証が済んでから充電を開始するという方法や、電流をセンサーで測定し、充電中に金属が充電器の上に落ちたら充電を停止するといったことを考えているという。電池の発熱については、より抑える技術を開発していくとのことだ。
今後は両社で実用化に向けて取り組む。村田製作所が急速充電バッテリーなど主に機器側のシステムを、エプソンがワイヤレス充電システム用ICや高効率の伝送コイルなど主に充電器側のシステムを開発する。システムの販売は村田製作所が担当する予定としている。
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