ゲーム関連の国内最大の展示会「東京ゲームショウ2007」が9月20日、幕張メッセで開幕した。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)、代表取締役社長兼グループCEOの平井一夫氏は基調講演で、今後のプレイステーションにおけるビジネス戦略を語った。
昨年12月に日本本社の代表取締役兼グループCOOに着任し、今年6月よりSCEI代表取締役兼グループCEOとなった平井氏は、「就任以来、基調講演という形で大勢の前で話すのは初のこと。海外で培った経験とノウハウとパートナーとの協力で一緒にプレイステーションビジネスを盛り上げていきたい」と挨拶した。
「1994年に発売したプレイステーションは、13年間で120を越える国と地域で発売されるまでに成長した。世界最大の数となる、2億5千万台以上のハードウェアと23億枚のソフトウェアを全世界で発売し、ワールドワイドで約2兆円のビジネス規模」と好調さをアピールした。プレイステーション2は、「2000年に発売してから8年目を迎えるプラットフォーム。特に欧米を中心に好調なビジネスを続けている。半導体の進化に伴い、コストダウンも急速に進んだ。プレイステーションは、発売から11年目にして、1億台の出荷を達成したが、プレイステーション2は発売から6年目と半分で達成した。プレイステーション2は息の長いビジネスになっていくだろう」と予測する。ソフトも約9,000タイトル12億枚以上を販売、今年度は全世界で300以上のタイトルを発売するという。
一方で、出足の不調が伝えられるプレイステーション3だが、「2006年にPS3を発売することで第一歩を踏み出した。しかし全世界同時発売というわけにいかず、出荷台数はワールドワイドで500万台越えたところ。期待したところまでには届かなかった」と明かした。
「PS3をゲーム機と位置づけ、見つめ直す。まずはゲーム機として楽しんでいただけるようソフトやハードをそろえることを直近の戦略とする」とし、立て直しの施策として(1)パートナーとの対話を通じ、より深い関係を構築すること(2)タイトルの内部制作の強化、(3)コストダウンの実現、(4)VOC(Voice Of Customer)を掲げた。
日米欧のソフトウェア制作部門を統合するSCEワールドワイドスタジオがあるが、開発力強化に向け、イギリスのソフトウェア会社Evolution Studdios Limitedとおよびその子会社であるBigbig Studios Limitedを9月18日に買収したことを明らかにした。人気タイトルである「MotorStorm」の次回作および、PLAYSTATIONNetworkにて提供予定の初回作の追加コンコンテン ツ開発を行っていくとしている。
ユーザーの要望に応えた第一弾の施策として、要望が多かった振動機能を搭載したプレイステーション3専用のコントローラ「DUALSHOCK3」を11月より発売すると発表した。欧米市場では2008年春を予定。9タイトルが東京ゲームショウのSCEIブースおよびパートナーのブースにて試遊できる。また、すでに発売されたタイトルでも、ネットワーク経由でアップデートすることにより、振動機能に対応できるとしている。
また、年内に開始を予定していたプレイステーション3用の3D仮想空間コミュニティ「Home」は、来年の春をめどに延期すると明らかにした。詳しい内容やスケジュールはしかるべきタイミングで発表すると説明するにとどまった。
講演後のトークセッションの中で、任天堂のWiiが、出荷台数としては大きくのばしているが、どういう存在と感じているかと問われ、「同じプラットフォームビジネスをしている他社であり、ライバルとも思うが、業界としてつねにフレッシュし、進化していくための原動力だと思う。今日も海外の方から多くきているが、日本初のゲーム業界がここまで大きくなったのは、プラットフォームホルダが切磋琢磨しているからだ。そういう意味ではパートナーでもある」と語った。
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