ソニーは、次世代DVD規格「ブルーレイディスク(BD)」レコーダー(録画再生機)などデジタルAV(音響・映像)の新商品が出そろう11月以降、各商品間の機能連携をアピールする専用の「提案型商品ブース」を初めて全国規模で量販店に展開する。一方、松下電器産業やパイオニアも、メーカー主導で独自の商品体験イベントを各地で開催するなど、年末商戦に向け、量販店まかせの画一的な販売手法を見直し、消費者に商品の独自性をPRする動きが相次いでいる。
ソニーは、BDレコーダーの新商品を発売する11月8日を機に、同製品を取り扱う予定の全国2500店のうち、大手家電量販店を含めた約1000店に順次、専用の提案型商品ブースを設置する計画だ。
提案型ブースでは、ビデオカメラで撮影したハイビジョン映像をワンタッチでレコーダーに取り込む機能連携や、薄型テレビのリモコンでレコーダーを簡単操作できる付加価値機能などを、各商品を組み合わせた複合展示で消費者にわかりやすく伝える。
一方、松下はトラックを利用した独自の移動式体験型店舗「ドリームカー」を昨年11月から販売店の営業支援に導入。約60台を駆使してデジタルAVやオール電化などのテーマごとに、商品に実際にさわってもらい、機能を実感してもらうイベントを展開している。
すでに参加数は8月までに延べ50万世帯に達し、イベント開催した支援先販売店の月間売り上げは、従来に比べ平均50%増の成果を上げており、販売店からの評価も高まっている。
こうした実績をもとに、今年の年末に向け、今月末からは新たなテーマの「ドリームカー」を追加、活動を拡大する予定だ。
家電量販店の販売手法は、テレビやカメラなど製品を分野ごとに商品陳列のスペースやフロアを設けるスタイルが一般的。複数のメーカーの製品を一カ所で比較できるなどの利点がある半面、消費者の関心は個別の商品特性よりも、一目で分かる値引きの価格差に集まりがちだ。
このため、販売価格下落による収益低下に苦しんでいる電機各社は、各製品の高性能・多機能化や、ビデオカメラとレコーダー、テレビとの連携など製品群で消費者に新たな生活スタイルを提案する高付加価値路線の動きを強めている。
量販店での横並びの販売活動だけでは、こうした付加価値を十分にアピールできないため、独自の販売施策で自社の製品群を消費者に直接訴求し、拡販につなげる考えだ。
プラズマテレビで価格競争に苦戦するパイオニアは、商品イベントの開催にとどまらず、独自の体感型商品展示などで販売代理店網の抜本的な再整備にも踏み込んでおり、“脱価格競争”を意識した販売手法の差別化の動きが広がり始めている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス