Business Weekの記事によると、Appleは1月に予定されている政府による次回の無線周波数オークションへの入札を検討している。
この記事は匿名の情報ソース2種類を引用し、「Appleは1月16日に実施されるオークションに入札することの意義を検討している」と伝えている。しかし、Business Weekの少なくとも一方の情報ソースは、Appleがオークションに入札しない方向に傾いていると指摘している。
2008年1月に予定されている周波数オークションは、デジタルテレビへの切り替えによって明け渡される700MHz帯周波数の無線免許を割り当てるものである。700MHz帯は伝搬特性が優れた最後の周波数帯と見なされており、障害物を貫通して長距離伝搬が可能なので非常に貴重な周波数帯である。インターネットの最大手企業であるGoogleは、この周波数帯に入札する可能性が高いとすでに述べている。
Appleはすでに無線分野に進出しているので、同社が700MHz帯のオークションへの入札を検討したとしてもさして驚くべきことではない。AppleはAT&Tの携帯電話ネットワークで動作し、Wi-Fiも使用できる「iPhone」を2007年の夏に発売した。さらに先週にはWi-Fi対応の新製品「iPod touch」で勝負に出た。この製品はiPhoneから携帯電話接続機能をなくしたもの。また、同社はiPhoneとiPod touchのユーザーがWi-Fi経由で音楽をダウンロードできる新しいバージョンの「iTunes」を発表した。
しかし、Business Weekの記事が指摘しているように、無線通信事業はリスクが大きい。そして現時点では「Appleはオークションに入札しない方向に傾いている」。Appleが入札に必要な最低金額の46億ドルを支払う余裕があるとしても、Appleにとってはマージンの少ない携帯電話事業に参入するのは戦略的にあまり得策とはいえない。
「なぜAppleは自社のマージンを減らすようなことをするのだろうか、というのが私の最初の印象だった」とGartnerのリサーチ担当バイスプレジデントであるMike McGuire氏は語っている。
Appleはオークションに入札するだけでも、自社の中核事業ではない活動に多くの資源と時間を投入しなければならないとMcGuire氏は指摘する。
「単に周波数の免許を取得するだけでなく、それ以上にやるべきことがたくさんある。まず入札を管理する人材が必要だ。そして、実際に周波数を割り当てられたら携帯電話事業の専門技術を取得する必要がある。さらに、対処するべき規制上の問題も存在する。したがって、Appleはこの事業にどの程度の資源を振り向ける用意があるのだろうかという疑問が出てくる」(McGuire氏)
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