繰り返し100回使える小型観測ロケットを開発し、2011年度の初打ち上げを目指すプロジェクト案を、宇宙航空研究開発機構の稲谷芳文宇宙科学研究本部教授らがまとめた。千葉市で19日から始まった日本地球惑星科学連合大会で発表する。打ち上げ後はパラシュートに頼らず、エンジンだけで発射場に帰還・着陸するほか、飛行中にホバリングもできるようにする。実現すれば世界初。
現在の観測ロケットは使い捨てで、1機2億〜3億円するのに対し、再使用型にすることで打ち上げコストを1回約1500万円に引き下げ、観測・実験回数を増やすのが目的。将来の有人宇宙飛行に必要な高い安全性と信頼性を実現する狙いもある。稲谷教授らはこれまで基礎研究を行ってきたが、本格的な研究開発への移行を目指している。
新ロケットは高さ8〜9メートル、重さ約8トン(燃料含む)。大型のH2Aロケットと同じ最も効率が良い液体水素と液体酸素を燃料とするエンジンを4基備え、このうち1基が故障しても飛行できるようにする。重さ約100キロの観測・実験装置を搭載し、最高で高度約120キロまで到達する。
発射場は鹿児島・内之浦宇宙空間観測所を想定。試験1号機を含む開発費は50億〜100億円を見込んでいる。
稲谷教授らは、1999〜03年度に秋田・能代多目的実験場で、小型実験機を8回、離着陸させた。その後はエンジンの推力調整や長寿命化の実験を続けている。
◇
【用語解説】観測ロケット
高層大気や宇宙線の観測、落下時の無重力状態を利用した実験、技術開発に使う小型ロケット。宇宙航空研究開発機構では主に固体燃料で単段式のS310型とS520型を鹿児島・内之浦宇宙空間観測所から年数回打ち上げている。いずれも高度100キロ以上の宇宙空間に弾道飛行で到達した後、海上に落下、投棄される。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力