フロリダ州オーランド発--EMI Groupの最高経営責任者(CEO)は米国時間3月28日、モバイル音楽の持つ大きな可能性から利益を得たいならば、携帯電話業界はAppleの戦略を見習う必要があると述べた。
モバイル音楽市場の規模は、2007年で130億ドル、2010年までには320億ドルに達すると予測されている。しかし、EMIのEric Nicoli氏は「CTIA Wireless 2007」トレードショーで行った基調講演において、携帯電話事業者や携帯電話メーカー、コンテンツプロバイダーが連携し、顧客第一主義をとらない限り、モバイル音楽市場が予測されている通りの売り上げを達成することはできないだろうと警告した。また同氏は、こういった企業がコンシューマー向けに開発するすべての製品を、人々が欲しがり、かつ使いやすいものにするとともに、手の届く価格で価値を提供する必要があるとも述べた。
Nicoli氏は「これまでのやり方を変えないならば、われわれは目標を達成することはできないだろう」と述べ、「これまでの成果をけなすつもりはないが、このビジネスを次の段階に進めるためには、対処すべき重要な問題がある。そして、それは顧客第一を意味する」と説明した。
Nicoli氏は、6月にAT&Tのネットワークでお目見えするAppleの音楽再生機能付き携帯電話「iPhone」を具体例として取り上げた。1月に発表されたiPhoneは、業界における他の携帯電話メーカーにはなしえなかったほどの話題となった。ただしAppleは今回のCTIAトレードショーでiPhoneを展示さえしていない。AT&Tの最高執行責任者(COO)であるRandall Stephenson氏は3月27日に行った基調講演において、iPhoneについてのより詳しい情報を同社に求めてきた顧客が100万人以上もいたと述べた。
Nicoli氏は「Appleは、人々が手に入れたいと思うものを作っている」と述べるとともに、「人々はiPodやiTunesのシンプルさや操作性の良さを気に入っている。Appleはそういったことを達成するために白魔術や黒魔術を用いているわけではない。彼らはコンシューマーの要望に耳を傾けているのだ。そして、そういったことはAppleの専売特許であってはならない」とも述べた。
また、Nicoli氏はデジタル著作権管理の問題にも言及した。Nicoli氏は、EMIの一部アーティストの楽曲を著作権管理対策をとらずに販売するという自社の試みが、興味深く、将来性のある結果をもたらしたと述べた。同氏は、EMIがこの試みを発展させるか中止するかについては述べなかった。
著作権保持者やデバイスメーカー、音楽配信会社が、オンラインまたは電波によってデジタル配信されるコンテンツの保護方法に取り組むなか、デジタル著作権管理、すなわちDRMは何年にもわたって大きな議論を巻き起こしている。
Appleの最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏は2007年に入って、レコード業界に対してDRMテクノロジの放棄を呼びかけ、猛反発を招いた。音楽業界の幹部はJobs氏のこの呼びかけを激しく非難した。Warner Music GroupのCEOであるEdgar Bronfman Jr.氏は、2月にバルセロナで開催された3GSM World Congressにおいて、DRMテクノロジの廃止ではなく、その相互運用性を高める必要があると主張した。
結局のところ、EMIはさまざまなモデルを試し、どれが最も優れているかを決定する気でいるようだ。しかし、Nicoli氏は、業界が今、変わる必要があるということは既に明らかだと見ている。
Nicoli氏は「目標を達成し、その先を目指したいと思うならば、現状通りという選択肢はない」と述べ、「われわれは、モバイルを通じて素晴らしいビジネスを作るという信じられないほどのチャンスを手にしている。しかし、われわれがもっとよく考えて連携しない限り、これを達成するチャンスはない」と説明した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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