人間の思考と感情で仮想世界を操作することを可能にする新しいゲームプラットフォームが登場しそうだ。
Emotiv Systemsは米国時間3月7日、サンフランシスコ州で開催中の「Game Developers Conference」(GDC)にて、ヘルメットとソフトウェアを利用して脳とコンピュータ間をつなぐインターフェースシステム「Project Epoc」を披露した。
Project Epocは、ゲームプレーヤーの思考をベースにオブジェクトを動かすことができるシステム。同社によると、顔の表情を反映し、興奮や落ち着きなどプレーヤーの精神的な作用に反応することができるという。
Emotivの最高製品責任者であるRandy Breen氏は、Project Epocの仕組みを次のように説明した。まず、ヘルメットに取り付けられたセンサーが、プレーヤーの脳内の電子信号を読み取る。そしてソフトウェアがこれを分析し、検出した情報を受信装置に無線で送り、受信装置がUSBポート経由でゲーム機やPCにその情報を送る。
手書き文字や音声認識システムと同様、マシンそのものが学習曲線を備えているため、使えば使うほどプレーヤーが考えていることをより正しく理解するようになる。しかし、プレーヤー側でも、操作をイメージすることに関してある程度のスキルが要求されるようだ。
Breen氏によると、どうやらProject Epocは、子供など自分の能力を信じる傾向が強い人の場合、最もよく機能するという。つまり、自分の考えで仮想世界を操作できると信じ込んでいるゲームプレーヤーが最適ということになる。言い換えると、自分の想像力を利用することに長けた人といえる。
「検出機能がうまく働くのは、特定の方法で行動について考え、その思考パターンを繰り返す人だ」とBreen氏は言う。
「多数の子供にもシステムを試用してもらったのだが、すぐによい結果を出したのが子供たちだった」とBreen氏。そして、「理由の1つとして、子供は大人のような『壁』を持っていないことが挙げられる。多くの子供たちが意志の力(念力)でコップを動かすことを空想し、それが可能であると信じているのだ」と続けた。
だが大人の場合、思考はより定義的で、常識から逸脱したことができると信じる際に障壁があるのだという。
Breen氏によると、Project Epocを利用すれば、誰もが少なくともオブジェクトに1つのアクションをさせることができるが、最大3つのアクションを同時に起こすためには、ある程度の練習を必要とする大人もいるという。
同社が会場で展示していたヘルメットはデモ用の試作品で、この技術を使って何が出来るのかをゲーム開発者に示すことを目的としている。まだ提携を発表する段階ではないが、製品は2008年に市場に登場する予定だ、とBreen氏は言う。
Project Epocのデビューに合わせ、Emotivはゲーム開発者向けの開発キットも発表している。また、医療、セキュリティ、市場調査、双方向テレビなど、ゲーム以外の業界で利用できる技術も開発中であることも明らかにした。
2003年に創業したEmotivは、オーストラリア政府の投資も受けており、オーストラリアのシドニーと米国のサンフランシスコにオフィスを持つ。4人の共同設立者の1人は、オーストラリア国立大学とシドニー大学の共同事業であるThe Centre for the Mindでディレクターを務めるAllan Snyder氏。また、同社顧問には、Intel Capitalの国際部門技術ディレクターであるSteven Duvall氏が就任している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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