Appleが発表した「iPhone」は、携帯電話を使った独自の音楽配信サービスを成長させたいと願っているVerizon WirelessやSprint Nextelにとって脅威となるだろうか?
楽曲再生が可能な携帯電話も製造するSony Ericsson、サムスン電子、Motorola、LGといった携帯電話メーカーが、今回発表されたiPhoneを脅威と捉えるのは当然である一方、独自の音楽配信サービスを抱えるVerizon WirelessやSprint Nextel、あるいはその他の携帯電話キャリアもiPhoneを脅威とみなす可能性がある。
携帯電話キャリアは、音楽やビデオのダウンロードといったマルチメディア分野を主要な収入源として捉えている。そしてCingular、Verizon Wireless、Sprint Nextelを初めとする大手携帯電話キャリアは1年以上前から、顧客が楽曲やビデオをダウンロードして持ち運べるサービスに取り組んでいる。
Sprint Nextelは1年以上前に音楽配信サービスを開始しており、同社のワイヤレスネットワークを介して1100万曲以上の楽曲がダウンロードされたと述べている。一方、「VCast Music」サービスを2006年に開始したVerizonは、1カ月当たり100万曲以上のダウンロード販売を記録していると述べている。そしてCingularも、Napster、Yahoo Music、XM Satellite Radio、eMusicと提携し、独自の音楽サービスをすでに開始している。
しかし専門家らによれば、広く普及し、人気も高いAppleの「iTunes Store」が、こういったキャリアの今後の売上に影響を及ぼす可能性があるという。また専門家らは、Motorolaが2005年に発売したiTunes対応携帯電話「Rokr」の売れ行きが芳しくなかった一方、新たに発表されたiPhoneは、Rokrに比べて保存できる曲数が格段に多いため、既存のiPodファン層によりアピールできるだろうと述べている。
American Technology ResearchのアナリストAlbert Lin氏は、「AppleのiTunesサービスは、VerizonのVCastモデルとは正反対だ」と述べるとともに、「Appleに対してVCastではなくiTunesを通じた音楽販売を許すような取引にVerizonが合意するとは私には思えない」とも述べている。
しかし、iPhoneと、VerizonやSprintによって提供されている携帯電話との大きな違いは、iPhoneでは携帯電話ネットワークを使って音楽やビデオを直接ダウンロードすることができないという点である。iPhoneよりも格段に安価であるVerizonやSprintの携帯電話では携帯電話ネットワークを使ったダウンロードが可能となっており、VerizonやSprintはこれが大きく異なる点であると主張している。
Sprintの広報担当者Aaron Radelet氏は「Sprintは携帯電話に直接ダウンロードすることのできる音楽コンテンツを豊富に提供している」と述べるともに、「多くの加入者が望んでいるのはこうした利便性だ」と述べている。
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