マイクロソフト、クリエイターやライバルと「REMIX」するイベント

島田昇(編集部)2006年10月27日 15時15分

 Web2.0の世界観は「面白いことをしたい」「遊びたい」から人が集まるというマインド。我々もそうしたマインドを持って取り組まないと駄目──。

 マイクロソフトが初めてクリエーターの存在を意識して取り組んだイベント「REMIX」が10月26日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催された。その仕掛け人である同社デベロッパー&プラットフォーム統括本部戦略企画本部戦略担当部長の成本正史氏は、今回の意気込みを冒頭のように語り、「クリエーターも技術者もそのほかの人たちも、面白いことをしたい人であれば誰でも集まってもらえるイベント」を目指した。

 会場にはこれまでのマイクロソフトからは想像しづらい「雑然としているがエネルギーを感じる」(成本氏)という「クリエーターズスクエア」を設置(詳細はフォトレポート参照)。多くの人たちでにぎわった。また、マイクロソフトのオンライン事業とは競合する部分もあるヤフーや楽天なども講演やパネルディスカッションに参加し、「競合とも共生していく方向性がREMIXのもう1つの趣旨」(パネルディスカッションで司会を務めたD4DR社長の藤元健太郎氏)という、マイクロソフトの今後のビジネス展開における姿勢も示唆するものとなった。

Fitzgerald氏 クリエーターと技術者のコミュニケーションの重要性を語るFitzgerald氏

 基調講演ではMicrosoft CorporationのGeneral Manager Platform Strategy、Charles Fitzgerald氏が登壇。ソフトウェア&サービス時代の到来に際し、クリエーターと開発者の円滑なコミュニケーションを実現することが重要であり、その上でその最適な支援ツールを提供することで、人間の直感に訴えかける新時代の魅力あるコンテンツが実現し、普及するとした。

 また、具体的な事例を数多く紹介。Fitzgerald氏が語る次世代のマイクロソフトのOSでありプラットフォームとなる「Windows Vista」などの概念や方向性を、より明確に伝えるよう務めた。事例ではオンデマンド配信やユーザー参加型放送を目指すNHKの事例や、ニュースの関心度を視覚化したガジェットを開発したシーネットネットワークスジャパンの事例などがあった。

 基調講演後4時間弱の間では、「デザイン」「テクノロジ」「プラットフォーム」「ビジネス」──の4つのトラックに分けて、「Vista」などマイクロソフトの次世代ソフトがどのようにIT関連サービスを進化させ、ユーザーのIT環境をいかに変えるかについての講演が大きく16講演あった。

パネルディスカッションの様子 共生の重要性を各社の参加者が訴えた

 パネルディスカッションは「ビジネス」「デザイン/デクノロジ」──の2つに分け、それぞれ「コンシューマーに指示されるサービス、日本的なサービスとは?」「Vista時代におけるユーザーエクスペリエンス技術の選択」と題して行われた。

 「コンシューマーに指示されるサービス、日本的なサービスとは?」では藤元氏の司会の下、アマゾンジャパン、NECビッグローブ、ヤフー、楽天、マイクロソフトから適任者が参加し、「グーグルの存在」「Web2.0の今後の課題」などについて議論した。検索や無料ソフトウェアの配布などマイクロソフトの脅威になりつつあるGoogleについては、「自分の全データ(管理)を(Googleに)任せるのに気持ち悪さはある」(NECビッグローブパーソナル事業部グループマネージャーの田中栄市郎氏)、「(マルチデバイス化の中で)ヤフーは既存のデバイスをいかにつなぐかに力点があるが、GoogleあくまでPCにこだわる方向性」(ヤフー事業推進本部デジタルホーム事業室室長の坂東浩之氏)と否定的な意見が多かった。

 今後の課題については、各社が競合企業でありながら協力し合う共生の意識が芽生え始めていることを語り合ったほか、性善説に基づくWeb2.0がそれだけでは危険であることを認識した上で、少数派の悪意ある存在の動向にいかに対処するかが大きな課題であるとの視点で一致した。

 なお、「REMIX」は今後、毎年開催する方針だ。

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