「補聴メガネ」を利用すれば、聴覚障害者は視力と聴力の両方を改善させ、より快適な社会生活が送れるようになるかもしれない。
「えっ、聞こえないからメガネをかけさせて」という変なフレーズが、もうすぐオランダ各地で聞かれるようになるかもしれない。先ごろ発売された斬新なメガネは、視力を改善するだけでなく、補聴器としての役割をも果たす。
聴覚障害者が社会生活をアクティブに送れるようにするこのメガネは、デルフト工科大学とオランダのVaribelという会社が共同開発した。
耳穴式の補聴器は静かな場所での会話には非常に有効だが、にぎやかな場所では問題になることが多い。入ってくる音すべてが増幅されるため、背景の雑音までが増幅されてしまい、会話が難しくなってしまうのだ。
このような問題から、利用者はパーティの参加や公共の場に出ることを控えるようになってしまって次第に交友関係が減り、さらには、本来の希望より早期に退職してしまう人だっている。Varibelによると、同社のメガネは音が来る方向を検知することができ、装着者に向けて直接話しかけられた言葉を増幅する一方で、背景の雑音は捨ててくれるという。
同社の補聴メガネは、フレームの左右にあるテンプル部に、それぞれ4つのマイクが内蔵されており、これらのマイクが音を拾う仕組みだ。音声信号はフレームにそって内蔵プロセッサへと送られる。プロセッサは、個々のマイクがキャッチした時間を元に、それぞれの音のポジショニングを計算する。装着者の前面から来る音はすべて増幅され、逆方向からのものは切り捨てられる。これにより、装着者の前面から話しかけられた音声は、うるさい環境の中でも明りょうに聞きとることが可能になる。
アルンヘムにあるRijnstate病院勤務の耳鼻咽喉科医C.H.M. Stengs氏はプレスリリースで、「素晴らしい製品だ。これだったら、クリアな音をよく聞きとれる。コーヒーショップや誕生会のような場所だと効果は絶大だ」と述べている。
Varibelは今後、さまざまな色やデザインがあしらわれたメガネを展開する予定だ。電源は充電バッテリ式。現在は、オランダ国内のみで発売されているが、Philips Electronicsも同製品の開発に加わっているため、将来的にはほかの市場でも発売される可能性がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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