Ann Aulebはサンフランシスコ州立大学で、ヒューマンセクシャリティにおける生物学を教えている。この授業では、同性愛者同士の結婚や妊娠中絶、割礼など、学生たちが感情的な動揺を受けやすいトピックを扱っている。これまでは、こうしたテーマを学生たちに討論させようとしても、学生たちが気後れしてしまうことが多かった。
しかし、2005年の春に、Aulebが「クリッカー」を授業に導入してからは、多くの学生が自らの意思を表示するようになった。クリッカーは、テレビのリモコンに似たハンドヘルド端末である。クリッカーを使うことで、学生達は、教室で行われるアンケートやテストに対して、挙手や返事をせずに回答できるようになった。
ノートPCに接続した特別な受信機を使うことで、講師らは、「自分の子供に割礼するか?」というような質問に対する回答も、直ちに集めることができるようになった。学生数が350名の授業でも、得られた回答を使って議論を始めることができる。
「考えや信条について具体的な数字が得られるようになり、学生達にとっても面白いのではと思う」とAulebの授業で助手を務める大学院生Christopher Fisherは述べる。「自分が普通かどうかということは、学生にとって大きな関心事だ。学生らは、他のクラスメイトとの違いを知ることになり、間違いなく議論のきっかけとなる」(Fisher)
これまでのところ、クリッカー技術に対する、Aulebや助手たちの評価は高い。このようなシステムを高く評価しているのは、Aulebたちだけではない。同デバイスは、全米の大学や高校で多く採用され、教師や学生は、講義の理解度をすぐに知ることができるようになった。こうした技術を導入することによって、大きな教室で行われる授業への参加率と双方向性は高まっており、インターネット、携帯電話、ビデオゲームに囲まれて育った学生達は特に、同システムを抵抗なく受け入れているようだと、同技術の支持者は述べる。
無線または赤外線の信号を使った同技術は、これまでも存在していた。しかし、この技術はここ1〜2年間のうちに、米国教育者の注目を集めるようになってきた。英国市場調査会社DTC Worldwideによると、学校や大学などの教育機関(そのほとんどが米国)は2004年に、100万台近くのクリッカーを購入したという。この数は、2003年の約2倍に相当する。教育技術の世界市場を調査するDTCによると、クリッカーは2008年には、毎年800万台(3億5000万ドル相当)のペースで売れるようになるという。
Fisherによれば、サンフランシスコ州立大学では約40名の講師がクリッカーを使用しているという。同デバイスは、ハーバード大学、ノースウエスタン大学、オハイオ州立大学、パデュー大学、ワシントン大学などの有名校でも使用されている。クリッカーを販売する大手企業eInstructionによると、700校以上の大学が現在、同社のクリッカーを使用しているという。オハイオ州に拠点を置く競合企業Turning Technologiesは、250校以上にシステムを販売したと述べる。同社によると、高校や小学校でも同技術を採用しているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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