東芝は11月29日、ハリウッドの映画会社4社とHD DVD規格のサポートで合意したと発表した。HD DVD陣営は次世代ディスクの普及に向け、強力な味方を得たことになる。
合意したのはParamount Pictures、Universal Pictures、Warner Bros. Studios、Time Warner傘下のNew Line Cinemaの4社。DVD Exclusive researchの調査によれば、2004年上半期のシェアはParamount、Universal、Warner Bros.(New Line、HBOを含む)を合わせて44.6%となっている。各社の代表作としては、Paramountのゴッドファーザー、Universalのヴァン・ヘルシング、Warner Bros.のハリーポッターシリーズ、New Lineのロード・オブ・ザ・リングなどがある。
HD DVDは現行のDVD規格の高機能版として、2003年11月にDVDフォーラムにおいて承認された規格。次世代ディスク規格としてはほかに、ソニーや松下電器産業が推進するBlu-ray Diskがあり、ソニーは次期PlayStationにBlu-rayを採用することを表明している。
今回、ハリウッド大手がHD DVDの支持を表明した要因について、東芝上席常務 デジタルメディアネットワーク社社長の藤井美英氏は「2005年末には製品化されるという実現性、ディスクの製造コスト、ROMディスクを主体に映像文化を作ろうという姿勢の3点が評価されたのではないか」と話す。
「ハリウッドが最も関心を持っているのが海賊版の撲滅だ。HD DVDが最新の著作権保護技術をいち早く採用することでハリウッドの悩みを解決できる」(藤井氏)
ディスクの製造を担当するメモリーテックの代表取締役社長 川?代治氏によれば、HD DVDの製造にDVDの製造装置やノウハウを生かせることも大きいという。「Blu-rayの場合、既存のDVD製造装置をすべて変更しなくてはならないが、HD DVDならば一部の改造で済む。このコスト差は大きい。また、DVDは登場当初バグが発生し、市場に混乱が起きた。DVDの経験を生かした高品質な製品を提供できる点も評価されたのではないか」とした。
ParamountとUniversalは同日、HD DVDディスクを使って映画タイトルを市場に投入することを表明している。Universal は2005年末に、Paramountは2006年初頭にそれぞれいくつかのタイトルをリリースする予定だ。
東芝は2005年第4四半期にも、HD DVDプレーヤーやHD DVDレコーダ、HD DVDドライブを搭載したAV ノートPC(Qosmioシリーズ)を市場に提供する予定。同社ではHD DVD関連の売上目標を2005年に50億円、2010年に3000億円としており、2007年度の単年黒字化を目指すとしている。
HD DVD陣営のNECは、2005年9月にHD DVD-ROMドライブを製品化するほか、12月にはPCのデータバックアップ用にHD DVD-RWドライブを発表する予定。三洋電機は2005年第4四半期を目標に、消費者向けの製品を発売する予定としている。
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