Appleは米国時間3月21日、フランスが審理中の法案は、iTunes Music Store(iTMS)で販売する楽曲を強制的にiPodの競合デバイスでも再生できるようにするものであり、これは「国家による著作権侵害」につながると述べた。
フランス下院は21日、デジタルコンテンツプロバイダーに著作権管理技術の詳細をライバル各社に公開するよう義務づける法案を可決した。iTMSの楽曲はAppleのFairPlay技術で保護されており、iPod以外の大半のプレイヤーとは互換性がない。いかなる楽曲再生技術(したがっていかなるメディアベンダーやデバイスメーカー)にも単独ではオンライン市場を独占させない、という同法案は、今後フランスの上院で審理される。
Appleは声明のなかで、「フランスによるEU著作権指令の施行は、結果的に国家による著作権侵害につながる」と述べ、「もしこのようなことになれば、著作権侵害に代わる合法的な代替案に顧客が目を向けつつあるときに、合法的な楽曲の売上が急激に落ち込むことになるだろう。適切に保護されていない『互換性のある楽曲』を自由にiPodに読み込めるようになれば、iPodの売上はおそらく増加するだろう。急速に確立される国家による著作権侵害という文化においては、iPod用の無償映画が次の標的になるのもそう遠くない」と続けた。
圧倒的なシェアを持つAppleのiPodは、やはり圧倒的なシェアを持つオンラインメディアストアのiTMSで購入した楽曲や、著作権保護のされていない楽曲に対応している。しかし、ソニーやMicrosoftのデジタル著作権管理ソフトウェアで保護されている、もしくはiTMS以外のサービスで販売された楽曲は再生することができない。
Piper JaffrayのシニアアナリストGene Munster氏は21日、Appleには、ビジネス手法を変更するのではなく、フランス市場からiTMSを引き上げる選択肢もある、とリサーチメモのなかで推測した。
「Appleは、iTMSの曲を競合するMP3プレイヤーで再生できるようFairPlay DRMを公開するよりも、フランス市場から撤退する可能性の方が高いと思う。思い切った措置のように思えるかもしれないが、ビジネスには実質的にほとんど影響ない。米国以外におけるiPodとiTMSの売上は全体の約20%と概算される。フランス市場単独だと、iPodとiTMSのビジネスの2%未満程度だと思う」(Munster氏)
Appleの広報担当は、フランスで同法案が立法化されたあとのAppleの対応についてはコメントできないと語っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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