Jason Scott氏は、パーソナルコンピュータの創生期から残っているような、古い広告やダイレクトメール、パンフレットなどを大量に保管している。
人々がそれを「ギーク」の歴史と見るか、単なる紙くずと見るかはともかくとして、Scott氏はこのお宝を世界の人々と分かち合いたいと考えている。
Scott氏は1970〜1980年代にかけて登場したさまざまなソフトウェアとハードウェアの広告を写真に撮り、それを先週から「Ditize.textfiles.com」で公開し始めた。Macファンは1980年代半ばに自分たちが非常に先進的と考えていた「Apple II」がどのような姿をしていたかをたぶん思い出せないだろう。またビデオゲームの愛好家は、Atariが「1450 XLD」というコンピュータにPC市場を独占する夢を託していたことなど忘れているだろう。「1450 XLD」もいまでは長く忘れ去られた存在となってしまっている。
Scott氏のサイトを見れば、そんな記憶が呼び起こされるかもしれない。
なぜ35歳の男性が古いコンピュータの広告を何年間も持ち続け、さらにそれをウェブサイトに掲載するためだけに毎日何時間も写真のスキャンに費やすのか。同氏のねらいは何なのか。
Scott氏は、技術の世界で大事なのは明日だということは理解している。それにもかかわらず、2年前の機器が時代遅れと考えられる業界において、同氏はPCの進化を追跡することに価値を見出している。アナリストのなかには、過去四半世紀の間にPCはほかのどんな技術革新よりも現代の生活を大きく変化させたという者もいる。
「これらの写真は、われわれがいかに進歩したかということを示している」とScott氏は述べている。「広告はときおり失われる歴史的事実であるが、これは初期の時代の姿を証明するものだ」(Scott氏)
こうした古い広告の画像を保存することで、Scott氏は歴史的記録を残そうとしている。また、同氏はそのほかにコンピュータギーク仲間に彼らの子供時代の夢を刺激した古風な機器をみせて、感嘆の声をあげさせることも目標にしている。
Scott氏とその仲間にとって、これらの写真は、米国のデパート「Sears」のカタログが前の世代の人々に与えたのと同じような意味をもつ。当時子供たちはカタログの玩具セクションを読みふけり、電車や人形を手に入れるのを願ったものだ。
「ほとんどの子供たちが夢みるカタログがある」とScott氏は言う。「これらのソフトウェアやハードウェア会社の広告は、自分たちのコンピュータをもっとパワフルにすることを約束し、われわれはそれを素晴らしいことだと思っていた」(Scott氏)
同氏は11歳から14歳まで、コンピュータのソフトウェアやハードウェアを載せたありとあらゆるパンフレットやダイレクトメールをとっておいた。また、同氏は「Compute」「Creative Computing」「Omni」といった会社の広告を雑誌から引きちぎっていた。
同氏はすべてをある箱に入れ、保管して置いた。同氏のアーカイブのなかには、1981年にMicrosoftが出した「Microsoft Adventure」というコンピュータゲームのパンフレットもある。また「Orange + Computer」の広告もあるが、同氏はこれを1984年に発売された「Apple IIのクローン」と呼んでいる。さらに、Profitという会社が出した「Addram Elite」というIBM PC RAM Expansionの広告もある。
「この基盤はたとえば、モデルやパラレル接続のプリンターを同時につなぐことができる。しかも、リアルタイムの時計やカレンダーや最大512Kのメモリーがもたらす便利さを享受することも可能だ」とこの広告には書かれている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス