サンフランシスコ発--あの白いヘッドホンがあればこそ、iPodを聞いていることがわかるというものだ。
韓国科学技術院(KAIST)は、このような考えを気に掛けてはいないようだ。KAIST は、iPodからの音声信号を人間の前腕を通して伝えるため半導体を開発した。この半導体は、当地で米国時間7日に開催されたInternational Solid State Circuits Conference (ISSCC)の「Silicon in Biology」という会議で、いくつかある発表のうちのひとつとして紹介された。
大学の研究者が紹介したさまざまな半導体に共通する設計概念は「省電力」だった。半導体の電力消費を抑える必要があることは、PCおよびサーバ用プロセッサ業界では既に「常識」となっているが、人体内部や皮膚の上で使われる半導体となると、その省電力には新しい意味合いが出てくる。
KAISTによると、彼らが試作した半導体は、電気を伝えるという人体の特性を利用したパーソナルエリアネットワークの設定で生じる問題の一部を解決すると言う。コンピュータ科学者は長年、普通の技術ファンが毎日持ち歩いているさまざまな個人用電子機器を接続するという構想を描いてきた。しかし、有線で電子機器をつなぐのは非実用的であり、またBluetooth接続は干渉しやすいと、KAISTの教授Seong-Jun Songは語る。
人体そのものをネットワークケーブルとして利用する方法を研究したグループもいるが、これまでの半導体では消費電力が多すぎる、または、データ転送速度が遅すぎて、実際の通信には使えないとSongは語った。
KAISTでは、デモで使うiPod nanoとイヤホンをテスト用チップで改造した。iPod上にある導体を指で触れると、音声信号が腕からイヤホンへ伝わる。同チップのデータレートは2Mbpsで、消費電力は10マイクロワット未満だとSongは述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」