ラスベガス発--Lenovoは、今度の冬季五輪開催と同時に、世界市場への浸透を目指すための新たな取り組みを開始する。
2005年にIBMのPCビジネスを買収したLenovoは、2月に始まるトリノ五輪にあわせて多数の製品を発表する。同社はまた新しいブランド戦略を発表するとともに、Lenovoブランドで販売されてきたノートPCと、IBMからの買収の目玉といえる「ThinkPad」シリーズとの差別化の手法についても明らかにすると、同社のSteve Dusi(ノートPCビジネス部門マーケティングディレクター)は語った。
Lenovoは今週当地で開催されているConsumer Electronics Show(CES)で新しいノートPCを発表した。これらのモデルは以前のものよりも軽量で、消費電力も少ない。
Dusiは、ほとんどが大企業向けに販売されている現行のThinkPad製品ラインについて、今後も全世界でThinkPadの名前を使用していくと述べた。
Lenovoはビジネスのほとんどを中国市場で行っているが、今後は現在中国で販売している中小企業や一般ユーザー向けのノートPCをブラジルやタイ、インドのような新興市場にも展開していく。IBMからPC部門を買収するまで、Lenovo(旧社名Legend)はすべての製品を、ほとんど中国国内で販売していた。
これらのノートPCは「Tinyi」といった中国語のブランド名で販売されている。Lenovoがこれらの名前を新しい市場向けに変更する可能性もあるが、Dusiが示唆したところでは、それらにThinkPadの名前が使われることにはならないという。同社ではThinkPadというブランドを大企業向けの製品だけに使っていく意向だと同氏は語った。
「われわれは中国で有効だったものを、世界の他の地域でも利用したいと考えている。そして、ThinkPadシリーズの製品は全世界で大〜中規模の企業向けに販売されることになるだろう」(Dusi)
Lenovoはトリノ五輪で技術分野の中心的なスポンサーとして、PCやサーバなどのIT関連機器を提供することになっている。また同社は2008年の北京五輪でもスポンサーになることが決まっている。
「五輪関連ではいくつもの大規模な取り組みを予定している」(Dusi)
同社は今回のCESで、「ThinkPad X60」ならびに「ThinkPad T60」シリーズの新モデルも発表した。
X60はX40の後継となる軽量薄型モデルで、IntelのCore Duo(開発コード名「Yonah」)を搭載する。Dusiによると、同チップには2つのプロセッサコアがあるが、それでも消費電力はこれまでのモデルに比べて最大で37%も少なくなるという。そのため、補助のバッテリを使うと、1回の充電で11時間近く稼働するモデルもある。これに対し、現行モデルでは補助のバッテリを使った場合の最長稼働時間は約8時間となっている。
「マシンの構成にもよるが、全般的に1時間から1時間半ほど稼働時間が長くなる」(Dusi)
このような消費電力の低減が可能になった理由としては、Intelが実装した回路関連の新しい技術や、タスク処理の高速化などが挙げられる。
「バッテリの持ちの良さとマシンの性能とは常にトレードオフの関係にあった。デュアルコアのチップでもこのギャップがなくなることはないが、それでも大幅に少なくなっている」とCurrent AnalysisのアナリストSam Bhavnaniは述べている。
また、一部のモデルには携帯通信網を利用できる機能が内蔵されている。Lenovoは電波の強さや料金に応じて、携帯電話とWi-Fiとの間で自動的に接続を切り替えられる技術をノートPCに搭載した。さらにX40では非搭載だったFireWire端子もX60には付属するとDusiは付け加えた。
さらに、新モデルの多くでは、消費電力が減ったことから一部の冷却用部品を取り除くことが可能になっている。その結果、新モデルの多くは、現行製品に比べて約11%軽量になっているという。
一方、T60はパラレルポートが付属しないことから、その分軽量になるほか、多くのユーザーが求める追加のUSBポート用にスペースを確保できるという。ただし、旧式のプリンタなどとの接続にパラレルポートが必要なユーザーもいるため、同社では光学ドライブ(用ベイ)に差し込んで使うオプションのパラレルポートを79ドルで販売する予定だ。
「パラレルポートとシリアルポートは最後まで無くすのに苦労した」(Dusi)
X60およびT60シリーズの最初のモデルは今週発売される。さらに今後2カ月間でさらに多くのモデルが登場する予定だ。
Lenovoはまた、ThinkPadへのAdvanced Micro Devices(AMD)製プロセッサ採用も検討していると同氏は付け加えた(LenovoのノートPCにはすでにAMDのチップを搭載したものがある。IBMもサーバ用にAMD製品を使ったことはあるが、ノートPCにはこれまでIntel製品しか採用していない)。
同氏によると、「(AMDのチップを)サーバに採用できるのなら、ノートPCにも搭載していいのではないか」という問い合わせが各企業のIT部門からLenovoに寄せられていたという。
しかし、主として企業向けに販売されるThinkPadにAMDのチップを採用するかどうかは、多くの要因を考慮しなくては決められないと同氏は付け加えた。
「動作速度が速いかどうか、コストが安いかどうかだけでは決められない。重要なのは顧客の仕事の効率を上げられるかどうかだ」(Dusi)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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