Intelは米国時間14日に、 Pentiumプロセッサの新モデルを発売する。「Virtualization Technology(VT)」と呼ばれる機能が搭載されるこのチップは、複数のタスクを1つのチップで同時に処理できる。
VTは、すでに同社のXeonプロセッサの一部のモデルに搭載されているが、デスクトップ向けのプロセッサに実装されるのは、これが初めてとなる。
VTを利用すれば、1つのチップ上に複数のパーティションを設け、そのなかで別々のオペレーティングシステムやアプリケーションを同時に動かすことが簡単にできるようになると、同社のテクノロジーマーケティング担当ディレクターChad Taggardは説明している。
Intelからは「672」と「662」という2種類のVT対応チップが発売される。AcerやFounder、Lenovo、TongFangといったアジアのPCメーカーは現在、これらのチップを積んだデスクトップの出荷を進めている。なお、1000個出荷時の価格は、「672」モデルが605ドルで、「662」モデルが401ドルとなっている。
Intelでは、シングルコアの Pentium 4のほかに、 2006年第1四半期にはデュアルコアの Pentium DもVTに対応させると見られている。また同年前期の終わりまでには、残りすべての製品にこの機能を搭載する。そのなかにはサーバ用プロセッサである「Xeon」や「Itanium」の次世代モデルだけでなく、ノートPC向けの「Pentium M」も含まれることになると、Taggardは述べている。
「われわれはシングルコアの Pentiumチップを皮切りにVT搭載チップのリリースを進めていくが、これは一部の政府省庁やIT関連の組織で、デュアルコアチップ(搭載システムの購入)がまだ正式に認められていないことによる。そのようなケースでも、われわれは顧客に仮想化技術のもたらすメリットを活用してもらいたいと考えている」(Taggard)
Taggardによると、消費者向けの市場ではVT技術により一部の基本的な問題を回避できるようになるという。
たとえば、ゲームや、IMを通じた友人とのチャットも、コンピュータ上の別々のパーティションに割りあてられて処理されるとTaggardは言う。
「そして、この仮想マシンのスイッチがオフにされると、この個人情報は破壊され、他のパーティションに移されることはない」(Taggard)
この特徴により、オンラインバンキングでは、このパーティション内に残ったやりとりの情報がスパイウェアを無効にした後で削除される。
デュアルプロセッササーバへのVT技術搭載は、2006年第1四半期に発売予定のデュアルコアプロセッサ「Dempsey」が最初になる。なお、AMDでも「Pacifica」という同様の技術を2006年前半に発売する計画をすすめている。
「企業はPCのセキュリティソフトウェアや他のアプリケーションをバックグラウンドでアップデートでき、ユーザーは作業の手を止める必要がない」とTaggardは述べている。「特定のパーティションのなかでウイルス情報の更新ができるので、問題の発生と同時に、これに対処していける。企業では、ネットワークトラフィックを異なるパーティションに経由させることで、ウイルスがユーザーの元にたどりつくことを防げるようになる」(Taggard)
この機能を併用すれば、 VMwareの「ESX Server」や「Xen」、Microsoftの「Virtual PC」といったソフトウェアの性能と柔軟性を改善できる。これらの企業はいずれもIntelの取り組みをサポートする意向を示していると、Taggardは述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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