JCB、KDDI、ボーダフォンなど13社は10月25日、非接触ICチップを搭載するおサイフケータイを使ったクレジット決済の普及を促進する団体「モバイル決済推進協議会」を設立した。コンビニエンスストアなど、これまでクレジット決済が利用されていなかった分野での普及を目指す。
協議会の理事は上記3社のほか、イオンクレジットサービス、OMCカード、オリエントコーポレーション、クレディセゾン、JTB、セントラルファイナンス、DCカード、トヨタファイナンス、UFJニコス、UCカードの計13社。会員企業数は理事を含めて39社となっており、ほかにも10社が参加を検討しているという。
活動は大きく2つある。1つはJCBが進めるクレジット決済サービス「QUICPay(クイックペイ)の普及を促進すること、もう1つは複数の決済サービスを1台のリーダー/ライターで対応できるように技術面での整備を進めることだ。
QUICPayはおサイフケータイや非接触ICカードを利用して、小額のクレジット決済ができるサービス。決済時に利用者のサインなどがいらない点が特徴だ。JCBは2005年4月からこのサービスを提供しており、現在はレストランのSizzlerなど約1000店舗で利用できる。利用会員数は約1万人という。
信原氏は「おサイフケータイによってキャッシュレス革命が起きている」とコメント |
JCB取締役社長の信原啓也氏は、「ファーストフードやコンビニなどにおける国内の小額決済市場規模は約60兆円と言われている。これに対し、クレジット決済の市場規模は約27兆円で、個人決済市場の10%以下となっており、米国に比べてまだまだ小さい。小額決済市場を取り込むことで、クレジット決済市場が伸びるだろう」と期待を寄せた。
おサイフケータイを使ったクレジット決済にはNTTドコモも強い意欲を見せており、4月には三井住友グループとの提携を発表している。また、7月にはJR東日本と共同で、ドコモのクレジットサービスとSuicaの電子マネーが使えるリーダー/ライターを開発する計画を明らかにしていた。
今回の協議会にはこの3社は入っていないが、この点について信原氏は「(すべてのサービスが1台で利用できる)汎用端末への意向は持っていると思うが、現時点では合意に達していない。協議会に参加してもらえるようお願いはしている」と話し、今後も話し合いを続けていくとした。なお、複数のサービスを1台のリーダー/ライターで対応することは技術的には難しくないといい、実際に店舗に導入した際にどう運営していくかという点で課題があるとのことだ。
QUICPay対応のリーダー。クレジット決済のため、万が一携帯電話をなくした場合でも保険が効く点が売りの1つだ |
協議会の参加企業のうち、トヨタファイナンスは2006年4月にもQUICPay対応カードを発行する考え。また、オリエントコーポレーションも「2006年春には対応カードを出したい」と話している。
協議会ではまず、おサイフケータイを使ったクレジット決済を普及させていく上で、どのような課題があるかについて議論する。2006年3月には中間報告会を開き、検討すべき課題についてまとめる考えだ。
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