沖電気とACCESS、次世代携帯電話向けソフト開発へ合弁会社を設立

永井美智子(編集部)2005年10月17日 20時38分

 沖電気工業とACCESSは10月17日、IPベースの携帯電話向けソフトウェアを開発する合弁会社を設立すると発表した。新会社の名称は「OKIACCESSテクノロジーズ」で、11月1日に設立する予定だ。

 新会社には沖電気工業が51%、ACCESSが49%出資する。資本金は1億円。社長には沖電気の情報通信事業グループ ネットワークアプライアンス本部 部長の中澤修氏が就任する。社員数は約20名で、沖電気からの参加者が過半数を占める予定だ。

新会社の社長に就任する中澤氏によれば「企業の情報システムと連携するアプリケーションも検討中」という

 沖電気のもつ音声・映像技術をベースに、ACCESSの携帯電話向けブラウザであるNetFrontをはじめとしたソフトウェア群「NetFront Mobile Client Suite」と連携するアプリケーションを開発する。具体的には、Push to Talkと呼ばれる複数人で同時に音声や映像を使って会話できる機能や、相手の状態がリアルタイムに分かるプレゼンス情報機能などの開発に取り組む。

 今回の合弁会社設立について、沖電気の代表取締役社長である篠塚勝正氏は「今後、通信業界は固定通信と移動体通信の融合(FMC)が始まり、ネットワークだけでなくサービスも融合するようになる。これに向けて新たなアプリケーションを積極的に展開し、ライセンス事業に挑戦していきたい」と狙いを明かす。

 また、ACCESS代表取締役社長の荒川亨氏は「ACCESSはこれまでブラウザソフトのNetFrontを提供してきたが、顧客からはトータルソリューションを求める声が高まっていた。自社で技術を開発したり、技術を持つ企業を買収したりする方法もあるが、高い技術力を持つ日本企業と提携するのが最も安心だと考えた」と話した。

 第3世代(3G)と呼ばれる現在の携帯電話は回線交換方式だが、3.5Gや4Gと呼ばれる次世代の携帯電話はIMS(IP Multimedia Subsystem)と呼ばれる規格を採用し、IPベースの通信が可能になるとみられている。ACCESSは、NetFrontが合計650機種、1億9500万台に採用されるなど世界的に販売網を持っており、沖電気の持つVoIPの技術力を生かして次世代携帯電話でも確固たる地位を築きたい考えだ。

 沖電気とACCESSは6月に提携しており(関連記事)、今回の発表はこの関係をさらに強化したものとなる。ACCESS側から話を持ちかけたといい、「他社にこの技術を直接ライセンスされることのない環境をつくりたかった。両社の投資負担などを考えると、合弁会社を設立するのが最も良いと考えた」と荒川氏は説明した。

 OKIACCESSテクノロジーズが開発した技術は、ACCESSが独占的に販売する。ACCESS取締役副社長の鎌田富久氏によれば、すでに世界の複数の通信事業者や端末メーカーと話を進めているといい、早ければ2006年にも導入が始まる見込みとのことだ。

 2007年度には携帯電話だけでなく、デジタルテレビやゲーム機などのデジタル家電向けのアプリケーションを開発し、販売する方針だ。新会社は2008年度に売上高30億円を目指す。

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