カリフォルニア州パロアルト発--Cellプロセッサの開発者らは、ユーザーがテレビ番組を決して見逃さないようにしたいと考えている。
東芝が、48本のMPEG 2ストリームを同時に録画できるCell用の「スーパーコンパニオンチップ(SCC)」を披露した。
同社は、今週スタンフォード大学で開催中の「Hot Chips」カンファレンスで、同チップの詳細を明らかにした。CellやSCCを開発するIBM、東芝、ソニーの3社では、Cellをできる限り多くのデバイスに搭載してもらう狙いから同チップを開発した。
SCCは、簡単にいうと、さまざまな用途に使用可能な高速のI/Oポートで、標準画質(SD)や高品位(HD)のテレビ信号やオーディオなど各種のデータを、セットトップボックスやハードディスクなどの機器から受信して、プロセッサに転送する役目を果たすものだ。
「Cellプロセッサには、外部モジュールと通信するための窓口が必要だ。Cellプロセッサは、デジタルTVなどの各種マルチプロセッサシステムで使われるようになると思う。実際には、大量のビデオを一度に録画する人は多くないだろうが、デモとしては見栄えがする」(東芝関係者)
Cellを開発したエンジニアらは、さらにCellプロセッサと、これに対応するコンパニオンチップを設計したのは、オーディオ/ビデオ関連のスムーズなプログラミングが目的である点を力説した。
たとえば、Cellは1つのビデオイメージを5つの要素に分割し、これを3つの別々のストリームとして処理する。同チップは帯域幅予約機能も持ち、異なるサブコンポーネントに帯域幅をダイナミックに割り当てることができる。帯域幅のスケジューリングが向上すれば、パフォーマンスの向上につながる。
SCCにはさまざま種類のI/Oシステムが搭載されており、同チップ1基につき、4つのUSBポート、2つのシリアルATAポート、4つのPCIおよびPCI Expressスロット、そして独自メモリが付属する。SCCは、Rambusの設計によるFlex I/Oリンク経由でCellチップと直接データをやりとりする。同リンクを使えば、データを5Gバイト/秒で転送できる。
SCCは、Cellで動作するコンピュータシステムやAV機器に搭載される可能性が高いが、同チップが採用される具体的な製品名は明らかになっていない。
ソニーは次期PlaySationへのCell採用を公約している。一方、東芝は今後投入するテレビにCellを搭載するとしている。
いまのところ、3社以外にCellチップの採用を明らかにしているのは、Mercury Computer Systemsだけだ。同社では、油田開発に関わるエンジニアや他のパワーユーザー向けのコンピュータにCellチップを搭載すると発表している。
各社の研究者や幹部らは以前、同チップをさまざまな製品に採用させるための活動を行い、またいろいろな市場に向けて異なるモデルを開発していくことを明らかにしていた。
「Cellは1つの用途のために開発されたプロセッサではない」とIBMのMichael Gschwindは言う。「このチップは、家電にも、スーパーコンピュータにも、ホームサーバでも搭載できる」(Gschwind)
だが、Cellチップの普及は簡単には進まないだろう。Microprocessor Report編集長のKevin Krewellは、同チップがまだ登場したばかりで、今後多くのプログラミング作業を行う必要があると指摘している。
Insight 64アナリストのNathan Brookwoodも、SCCに搭載される一部の機能に首を傾げている。その1つは、同チップがDDR (double data rate) 2メモリを使用する点だ。Cellチップ自体は、やはりRambusが開発したXDR (external data representation) メモリといいうまったくアーキテクチャが異なるメモリを利用する。そのため、緊密に連動する2つのチップが、異なるタイプのメモリを利用することになると、同氏は指摘している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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