ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は7月21日、PlayStation事業の今後の戦略について紹介する関係者向けイベント「PlayStation Meeting 2005」を東京都内で開催した。会場では次世代ゲーム機「PlayStation 3(PS3)」の評価機を用いたデモが国内で初めて披露された。
PS3は同社がIBMや東芝と共同で開発した「CELL」プロセッサを搭載した点が特徴だ。CPUの浮動小数点演算能力は218Gフロップと、現行のPlayStation 2の約35倍のパワーを持つ。
説明に立ったSCE社長兼グループCEOの久夛良木健氏は、PS3が新たにもたらす価値について紹介した。同氏によれば、PS3では人物や背景の動きを物理シミュレーションによって表現できるようになり、よりリアルな表現が可能となったという。
これまで背景や人物の動きに関する描写はゲームクリエイターが手作業で行っていたが、PS3ではリアルタイムの演算処理をすることで自動生成できるようにする。「これによりクリエイターの負担や開発費を削減でき、ストーリーなどほかの要素にコストをかけられるようになる」(久夛良木氏)
デモでは、アヒルの人形がお風呂の中を泳ぐ様子が紹介された。アヒルの動きに合わせて水面が波打つ様子は、すべて物理シミュレーションによるものだ。
また、PS3ではBlu-ray Diskを採用することで、フルHD(1920 x 1080ピクセル)の画質で映像を表示できるようにした。今後フルHD対応の薄型テレビが普及すると見込まれることから、フルHDへの対応は欠かせないと判断したという。「中途半端なメディアシステムは搭載せず、Blu-ray Diskを搭載することにしたのはこのためだ」(久夛良木氏)
PS3では、より実写に近い映像が表現できるようSCEがnVIDIAと共同で開発したGPU「RSX」を搭載する。「今後10年間、ユーザーに支持されるようなグラフィックエンジンを共同で開発している。映画の中、もしくは最高性能のPCでしかできないと思っていた映像表現が家庭の中でできるようになる」と久夛良木氏は自信を見せた。
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