Apple Computerが、自社のウェブブラウザ「Safari」の基盤として、「KHTML」というオープンソースのレンダリングエンジンを採用したのは2年前のことだったが、先ごろ同社はオープンソース陣営に対して、互換性の問題を解決するために、KHTMLのコードベースの代わりに自社の開発したコードの採用を求める提案を行った。
CNET News.comが入手した電子メールによると、Appleでブラウザの開発を主導する人物がこのメールのなかで、ブラウザの心臓部であるKHTMLレンダリングエンジンの設計者らに対し、KHTMLコードベース(または「ツリー」)の開発を中止し、代わりにAppleが書いた「WebCore」と呼ばれるエンジンを採用してはどうかと示唆している。KHTMLは、もともとLinux/UNIX用インタフェースのKDE(the K Desktop Environment)向けに書かれたものだ。
AppleのMaciej Stachowiakというエンジニアは、5月5日付のこの電子メールのなかで、「1つの可能性として、今後はWebCoreの方を(KDEに)移植し、KDE側の変更をWebCoreに反映する形を検討してはどうか。これら2つのツリーは、分岐後も有益な変更を受けてきたが、Appleのツリーが受けた変更の方が多いように思う。こちらには、自分たちのツリーをマルチプラットフォーム化する用意がある」と述べている。
Appleは、KHTMLの元々の開発メンバーの不満を抑えるべく今回の提案を示したが、KHTMLの開発者らは、この提案を受け入れる可能性は少ないと述べている。2年前には、Appleを救世主として歓迎した彼らだが、今では自分たちと同社の関係を「悲惨な失敗」だと呼んでいる。
この衝突を、オープンソースプロジェクトに取り組んだ企業が経験する失敗を象徴している、とする意見もある。KDEは、Appleに対する積年の不満を訴え、同社からは得るものより与えるものの方が多かった、と主張している。
Appleはこの件に関してコメントを控えている。しかし、Safariの開発に携わるエンジニア、David Hyattは、自らのブログでKDE側の不満を認め、最近公開されたパッチについて弁護し、AppleとKDEの関係改善に向けた提案を呼びかけている。
「これまで公開してきたパッチはKHTMLだけに適応されるものではない・・・Appleがどうすればもっと良いやり方をできるか教えてほしい」(Hyatt)
この話の続きは公開メーリングリストやブログで展開された。先に触れたStachowiakの電子メール--KHTMLグループに対して、WebCoreを採用して、新たなスタートを切ることを示唆した提案も、この流れで登場したものだった。
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