あなたは現金と引き換えにサーモスタット(温度自動調節器)の温度調節機能をあきらめますか--クリーンエネルギー技術を手掛ける企業数社が行ったこの質問に対し、一部の人が「イエス」と答えている。
これらの企業は、電気代が最も高く、電気の入手が困難になる電力消費ピーク時に全体的なエネルギー消費量を減らすためのサービスを提供する。これらのサービスは、各家庭の電力計に取り付けたコンピュータに電力会社やその他のエネルギー供給会社から命令を送ることによって、エアコンなど特定の家電が消費する電力を抑制する仕組みになっている。
「セントラルエアコン(集中冷暖房)や給湯設備、プールにかかる費用が、各世帯の公共料金総額の75〜80%を占めている」と語るのは、ニュージャージー州ハノーヴァーに拠点を置くComvergeのCEO、Robert Chisteだ。同社は、エネルギー消費を自動的に抑制する技術の普及/促進を図っている。
このComvergeとボストンに拠点を置くEnerNocの2社は、小規模ながら着実に成長を続けるクリーンエネルギー市場で有望視されている企業だ。同市場が扱う分野は、新型ソーラーパネルや浄水装置、さらには燃料電池に至るまで多岐に渡る。いずれの企業も、天然資源を最大限活用することによって利益を上げるというコンセプトの下に事業展開を行っている。
主に一般住宅に重点を置くComvergeに対し、EnerNocは商業ビルにおけるエネルギー消費の抑制を目指している。しかし、両社の発想は同じだ。建物内の電力計に取り付けられたモジュールが、インターネット、無線チャンネル、セルラーネットワークを介して、電力会社やその他のエネルギー供給会社と定期的に交信している。
米国の消費者や企業のエネルギー問題に対する関心の度合いは時期によって波があるが、最近はこの問題に対する関心が再び高まっている。例年以上に高くついた冬季の暖房費や、今や1ガロン当たり2〜3ドルのガソリン価格などから、多くの人が原油価格の高騰に気付いている。夏の暑い時期が近付く中、電力供給の一時停止や停電に対する不安が暗い影を落としている。環境に対する意識の高まりも1つの要因である。
しかし、家庭への影響が最も大きいのは料金だ。消費者は温度調節プログラムを選択することによって、毎月割戻金を受け取ったり、エネルギー消費量の抑制に貢献したりできるようになる。
一方、電力会社などにとっても、発電所を新たに建設したり、エネルギーをオープン市場で最高値で購入する必要がないというメリットがある。ソルトレークシティのある電力会社は9万世帯にComverge製の制御装置を導入する。各装置が削減可能な電力消費量はおよそ1キロワットであるため、全体で90メガワットの電力を生産する発電所と同じ機能を果たす。その規模の発電所を実際に建設すれば、数十万ドルの費用がかかる。
同社はこれまでに、全米各地で総計225メガワット分の制御装置設置契約を結び、年間売上もおよそ2500万ドルにまで増加した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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