英IBMは3月14日(現時時間)、手の震えに悩むユーザーのために震えを補正するマウスアダプタを開発したと発表した。英国のベンチャー企業MontroseSecamがライセンスを受け、「Assistive Mouse Adapter」という名称で製造し販売する。
International Essential Tremor Foundation(IETF)によると、手の震えで最も一般的な症状である本態性振戦(はっきりした原因がなく、手が震える症状)が見られる人は米国だけで1000万人近くいるという。この症状がある人はマウスを使うときに無意識に手が動いてしまい、パソコンを操作することが難しい。画面上のカーソルが不安定に動くため、電子メールの開封や、ウェブボタンを押すといった簡単な作業も困難になる。
Assistive Mouse Adapter(左) |
Assistive Mouse Adapterは、カメラレンズ用の手ぶれ防止装置と同様の仕組みを使って、震えの動きが伝達されないようにするもの。PCとマウスの間に接続して利用する。PCにソフトウェアを追加する必要はない。震えの度合いに応じた調節が可能で、指の震えのために意図せず行われた複数回のマウスクリックを無視するように設定することもできるという。
MontroseSecamのディレクターの一人で、自らも遺伝による先天的な振戦(手が震える症状)をもつJames Cosgraveは、「私はパイロットですが、震えによって飛行機を操縦する能力が制限されたことはありません。しかしパソコンの場合は、マウスを使って画面上で非常に小さなカーソルを正確に操作しなければ何もできないので、ほとんど操作することができませんでした」と話す。
このマウスアダプタを最初に開発したIBM研究員の1人であるJames Levineは、「社会の高齢化が進めば年配のコンピュータユーザーも増えることになりますが、同時にコンピュータ利用の必要性も増大していきます。手の震えに悩む人々もAssistive Mouse Adapterを使えば、もはや他人に頼らなくとも、オンラインバンキングやショッピング、あるいは医療上のアドバイスを受けるといった日常的な活動が可能になります」とコメントしている。
販売は3月14日より開始する。価格は英国からのオーダーの場合は67ポンド50ペンス、欧州外からの場合は107ドル。
MontroseSecamは、Assistive Mouse Adapterの売上の一部を、手が震える症状に悩む人々に対する支援と助言を行う英国内の団体に寄付するとしている。
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