Intel最高経営責任者(CEO)のクレイグ・バレット氏が来日し、同社のデジタルホームに関する取り組みについて紹介した。会場ではパートナー企業のPCやAV機器を使ったデモンストレーションも行われた。
バレット氏は、PCの誕生から現在までの歴史を振り返ったうえで「(PCの)次の進化は家庭から始まる」と話す。「家庭の中で、通信とコンピューティングの本当のコンバージェンス(融合)が起こるだろう」(バレット氏)。
Intel最高経営責任者(CEO)のクレイグ・バレット氏 | |
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デジタルホームを実現するための基盤としてバレット氏は、ブロードバンド接続、デジタルコンテンツ、家電とPCの相互接続性の3つを挙げる。そしてこのすべての面で日本はエキサイティングな環境にあると話す。「日本はどこの国よりも早くデジタルホームが実現されるだろう」(バレット氏)
例えば、日本は世界で最も100kbps当たりの月額接続料金が安く、高品質で高速なネットワークが普及している。「10Mbp〜100Mbpsのネットワークが一般的に利用されている。これは米国では考えられないことだ」(バレット氏)。
ただし、日本ではインターネットの利用方法がまだ限られているとバレット氏は指摘する。インターネットの利用はEメールや情報検索に限られており、動画の視聴やオンラインゲームを行うユーザーは10%前後だと示す。「コンテンツをどう使いこなすかという面で、日本はまだ遅れている。コンテンツを触媒と位置付け、デジタルホームの実現をいかに加速させるかが今後の課題だ」(バレット氏)
今年後半には相互接続性が保証された製品が登場
バレット氏は、機器間の相互接続性が重要と繰り返し強調する。Intelは、ソニーや松下電器産業などとともにデジタルホーム・ワーキンググループ(DHWG)を結成し、機器間でコンテンツのやり取りが可能となるように、プロトコルなどの仕様策定を行っている。第2四半期中にガイドラインが完成する予定で、今年後半からは対応製品が各社から発表される見通しだとバレット氏は語った。
会場では、ポータブルPCや同社がエンターテイメントPCと呼ぶホームサーバ型のPC、大型のプロジェクション型テレビのプロトタイプが公開された。Intelはプロジェクション型テレビ向けの小型チップを今年末に販売する予定。初年度の売上規模は数億ドル程度になる見込みだとした。
Intelが会場で行ったデジタルホームのデモンストレーションは、オンラインゲームや映像配信をPC上で楽しんだり、PCに保存されたコンテンツをテレビで見たりするもので、その中心には常にPCが存在していた。この点について聞かれたバレット氏は、「あえてPCを中心に据える意図はなかったが、PCはコンテンツを作ったり、操作を行ったりするという点でメリットがある。ただし、重要なのはあらゆる機器が相互接続できるということだ。(テレビやSTBなど)どんなものが家庭の中心にきてもデジタルホームが実現すると言うのが究極の答えだ」と話し、相互接続性の重要性を改めて訴えた。
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