チップメーカーの米Transmetaは、PCメーカーがビジネス向けの新しい製品カテゴリをつくり出すのに力を貸している。いま同社が狙っているのはUPCと呼ばれる超小型のPCだ。
Transmetaは8日(米国時間)、「Ultra-Personal Computer」(UPC)と呼ばれる超小型コンピュータの開発に同社のチップが使われていると語った。UPC製品は、5〜6ポンドも重さのある従来のノートPCや携帯端末(PDA)に代わる選択肢として、ビジネス向けに開発されたもの。この新しいコンピュータの一部は、現在すでに販売されているが、同社の話では今年人気が高まると見られているという。
「新しい革新的な設計で、UPCに我が社の製品を採用するメーカーの数が増えているだけではない。UPCのセグメント向けにつくられたソフトやハードウェア、周辺機器などをサポートする企業も増加している」と、同社最高経営責任者(CEO)のMatthew Perryは声明のなかで述べている。
UPC製品を現在開発しているのは、米Antelope Technologiesや米OQOといった新興企業だ。これらの企業の製品はいくつかの点でノートPCに類似している。利用するオペレーティングシステムは米MicrosoftのWindows XPで、XP互換のソフトウェアは全て動作する。ただし、サイズのほうはかなり小さく、携帯端末と同等の大きさで、重さも500グラムに満たないとTransmetaは説明する。
OQOのUPC製品には、Transmetaの1GHzで動作するプロセッサが積まれており、サイズはPDAと同等。縦3インチx横4インチのこのコンピュータは1インチ以下の薄さで、5インチの画面が付属する(同社ウェブサイト)。またキーボードを使用する際には、画面を上方にスライドさせる仕組みになっている。
OQOが8日に語ったところでは、同社は今年後半にもこの製品を発売するという。2002年4月に創業した同社は、もともとこの製品を2002年後半には発売したいと考えていた。
一方、AntelopeのMobile Computer Core (MCC) という製品は、2002年10月末に、3970ドルのキットの一部として発売になっている。このマシンは、PDAサイズのモジュールを形の異なる多数のシャシに挿入して使えるようになっており、シャシのなかには6.3インチのタッチパネル兼用画面を搭載した携帯端末型のものもある。このモジュールは1GHzのTransmeta製チップ、ハードディスク、メモリや、他のコンポーネントを搭載し、デスクトップ用ドッキングステーションと組み合わせて使うことも可能だ。
Transmetaでは、UPCの登場について、自社チップの省電力化が進み、発熱量も低減したことから実現したものと説明している。比較的少ない電力消費量で、かつ発熱量もわずかなチップを選ぶことで、PCメーカーはこれまでよりもかなり小型で軽量なコンピュータをつくれるようになった。この理由の1つには、そうしたマシンでは小型のバッテリーを利用し、また冷却ファンのような部品を必要としなくなったことがある。さらに東芝などが開発している超小型ハードディスクの登場も、コンピュータの小型化に役立っている。
チップメーカー各社は、UPCとPDAの違いについて、無線ネットワーク接続機能を持った携帯型PCで、パソコン向けのWindows XPやその他のアプリケーションを、そのまま動かせる点を挙げる。出先で働くことの多い従業員や、会議に追われる幹部のいる企業にとっては、UPCのこの特徴が魅力となると考えられるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス