松下電器産業は19日、グループ会社の松下電工を子会社化すると発表した。現在松下電器は松下電工の発行済み株式の31.8%を保有しているが、保有比率を51%まで引き上げる。
両社は、1935年に松下電工が松下電器の一部事業を継承する形で別会社となって以来、松下グループの中核企業として協力関係を保ちつつ、それぞれ独自の戦略に基づいて事業を行ってきた。資本関係が強化されることで、今後は「ネットワークから電気分野まで総合的なソリューションが提供できる」(松下電器産業 代表取締役社長、中村邦夫氏)という。
具体的な方向性や方針は決まっていないが、2004年1月9日付で「21世紀コラボレーション委員会」を設置し、「アプライアンス」「住設機器・建材」「電設機器・資材」「照明」「家&ビルネットワーク」「環境システム」「健康・医療」等の事業分野において新たな施策を検討するとしている。同委員会のメンバーおよび委員長は未定。両社で重複している事業の統合などの可能性についても、同委員会で検討するという。
株式保有率を51%以上にする可能性はないというが、協業関係を強力にすることで、資源の効率的運用と流通リソースの強化が可能だと中村氏。松下電工の社長経営執行役、畑中浩一氏も、「松下電器の持つ技術力、グローバル力、情報力、多くのリソースを松下電工も存分に活用できることになる」としている。ただし、今後も自主独立経営は続けるとしており、「親会社が権力を振り回すことのないようにしたい」と中村氏は述べた。
Panasonic hi-hoは分社化
松下電器は同時に、ISP「Panasonic hi-ho」などのインターネットサービス事業を2004年4月1日付で会社分割し、同日付で設立する「パナソニック ネットワークサービシズ」(PNS)に移管するとの発表も行っている。Panasonic hi-hoは1995年にサービスを開始した老舗プロバイダ。新会社PNSは、松下のeネット事業本部が運営する個人向けISPサービスのほか、法人向けインターネットソリューション事業(ホスティングサービス、ハウジングサービス、インターネットシステム構築運営支援など)を運用する事業会社となる予定。
松下電器では、個人向け、法人向けを問わずさまざまなインターネットサービスを拡大すると同時に、各分野が機動的かつ柔軟な事業運営を行うために、別会社化や社内カンパニー化を進めてきた。PNSの設立もその流れに沿った動きで、「インターネットサービス業界の経営環境変化のスピードに即した経営・サービス運用基盤を確立することで、事業強化を図る」としている。
さらに松下電器は、ミネベアと松下電器のモータ社を統合し、2004年4月1日付けで情報モータ事業新会社「ミネベア・松下モータ」を設立すると発表している。これは、両社が2003年8月27日に締結した統合基本合意書に基づくもので、両社の情報モータ4商品(ファンモータ、ステッピングモータ、振動モータ及びブラシ付DCモータ)事業を統合する。
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