シンガポール発--当地のある企業が、従来の方法に比べ、ファイルをはるかに小さく、しかもデータロスなしに圧縮する技術を開発したと主張している。
Adaptive Binary Optimization(ABO)というこの手法は、病院が医療画像を圧縮・管理したり、映画配給業者が映画を保管・転送するのに役立つ。また、ネットワークでの転送時間を短縮するためにファックスやスキャンデータも圧縮できると、同社は主張している。
画像用のJPEG(Joint Photographic Experts Group)や動画向けのMPEG(Motion Picture Experts Group)のような圧縮方法は、情報通信の世界ではすでにデファクト・スタンダードになっている。そこで、ABOを開発したこのメーカーは、完全なコンテンツ管理プラットフォームとして同製品を売り出すことにした。
誕生して1年めのMatrixViewは、シンガポールのKK婦人科・小児科病院と協力し、同病院の超音波映像のビデオライブラリをデジタル化して保管するというパイロットプロジェクトに取り組んでいる。対象となっているのは、超音波スキャナで取り込まれた子宮内の胎児の画像である。
同社創業者兼技術最高責任者(CTO)のArvind Thiagarajanは、同社のABOについて、JPEGのような一般に使用されている手法に比べ、はるかに高い圧縮率を実現できると説明している。
「JPEGやJPEG2000だと、6分の1から7分の1のサイズにデータを圧縮できるが、多くのエラーが発生する。ロスのないJPEGだと4分の1から5分の1の圧縮率になる」(Thiagarajan)。これに対して、ABOなら画像ファイルを32分の1まで圧縮できる、と同氏は述べた。
同社によれば、ABOではさまざまな技法を駆使できるという。一例として、画像ファイルを構成する色、というような類似の特性ごとにファイルをグループ分けすることが挙げられる。
JPEG2000で使われるウェーブレット圧縮のような手法に比べ、数学的な再公式化はずっと少ないという。したがって、圧縮、解凍が素早くでき、しかも画像はオリジナルにより忠実なものになると、同社の声明には記されている。
ユーザーは、幅広い圧縮オプションから目的に合った比率を選ぶことができる。オリジナルと全く同じファイルが必要なら、ロスのない圧縮比を選べばよい。オリジナルと見た目は同じだが、関係のないデータを間引いたファイルでもよければ、より高い比率を選ぶことができる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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