タイでは、低価格のLinuxコンピュータと廉価なソフトウェアを国民に提供するというプロジェクトが成功したことを受け、情報通信大臣が議長を務める「Budget Wireless Project(低予算ワイヤレスプロジェクト)」ワーキンググループが結成される。
Bangkok Postによれば、同グループは、情報通信省を戦略的パートナーとする業界団体を結成する予定だという。
このプロジェクトはタイの低所得層に低価格の携帯電話、ワイヤレスPDAやノートパソコンを販売し、ワイヤレスサービス向けにコンテンツ作成を行うものだ。米IBM、米Microsoft、米Intel、米Oracle、米HP、米Cisco、米Dellと韓国Samsungなどの企業が、同イニシアティブの支援を表明している。
タイのMicrosoft責任者、Andrew McBeanがBangkok Postに語ったところによれば、このプロジェクトは、低所得層に継続的な便益をもたらすウェブサービスを目標にするかもしれないという。
タイの情報通信技術省は今年の5月、タイ版のLinuxで動く低価格の「国民PC」を発表した。同プロジェクトでは、政府機関が直接業界パートナーと協力した。
プロジェクトの出だしは好調で、大きな成果をあげた。より多くの企業が参加するようになり、6月にはMicrosoftが「国民PC」にバンドルされたWindows XPとOfficeの価格を大幅に押し下げた。
今回の「Budget Wireless Project」によってワイヤレス機器の価格が大幅に下がることはないかもしれないが、ワイヤレス技術の使用を通して、低所得層の国民がインターネットにアクセスできるようになる。
タイは低所得層向けに一連のICTパイロットプロジェクトを展開しており、タイ語によるローカルコンテンツの開発もそのなかに入っている。
Bangkok Postは、同プロジェクトによって企業が、自社の低所得層向けのインターネットサービスをテストできるようになるかもしれないとコメントしている。ワイヤレス技術が、裕福な新しもの好きから大量市場に浸透するにつれ、企業が成長するには低所得層のニーズに応えていく必要がある。
同紙は、韓国や日本のように、インターネットマーケッターがゲームやギャンブルのような娯楽性の強いアプリケーションで、低所得層の大量市場を狙う「エンターテインメントの落とし穴」に落ちないように警告している。しかし、全体として同紙はこのプロジェクトを、世界的な問題となっているデジタルデバイドをなくすための、タイ式の現実的なソリューションだと考えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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