無線IC(RFID)タグはもう、スーパーマーケットの商品管理のためだけのものではなくなった。
米Applied Digital Solutions(ADS)は、米国人に対して現金自動預払機(ATM)やクレジットカードを利用する際の認証用に、皮膚に埋め込んだRFIDタグを使うよう説得したいと考えている。タグを取り付ける外科手術では、12×2.1mmのRFIDタグを人間の腕の肉に埋め込む。この手術は局部麻酔で行えるものだ。
ADSの最高経営責任者(CEO)Scott Silvermanは21日(現地時間)、パリで開催された「ID World 2003」カンファレンスのスピーチで、ADSが「VeriPay」RFID技術を開発したことを発表し、金融サービス会社と提携を結びたい意向を示した。
自らの体にチップをインプラントしたというADSの広報Matthew Cossolottoは、キーホルダーやカードにRFIDタグを埋め込むといった競合案には欠陥がある、と主張している。「RFIDタグ入りのキーフォルダーをなくしたり盗まれたりしたら、他人が利用して、あなたの大事なアカウントにアクセスする恐れがある。VeriPayはこうした問題を解決できる。皮膚の下に埋め込まれているので、なくすことは滅多にない。タクシーの後部座席に忘れることもない」(Cossolotto)
RFIDタグは極小のマイクロチップで、一部のメーカーでは砂粒の半分にまでサイズを縮小するのに成功している。このチップは無線のクエリーを受け付け、独自のIDコードを返信する。通常このIDコードは64ビットの識別子で、約1京8000兆もの異なる値を表すことが可能だ。IDコードの返信には、最初の無線信号による電力が利用される。
RFIDを人体に埋め込むとなると、独特なセキュリティ上の懸念が持ち上がる。まず、RFIDはID番号をブロードキャストするので、泥棒が自分で機器を立ち上げて、RFIDの通信を妨害し、信号をATMに再ブロードキャストしてしまう恐れがある。また、切羽詰った泥棒なら、被害者の体からタグを切り出そうとするかもしれない。
米Electronic Privacy Information Centerの弁護士、Chris Hoofnagleは、RFIDを体内にインプラントすると懸念がさらに増えると述べている。「銀行のカードが盗まれた場合なら、電話で届けを出すだけで済んだ。だが、体内に埋め込まれたRFIDの場合、外科医に電話しなければならなくなる」
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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