松下電器産業の2003年度連結中間決算(4-9月期)は売上高が前年同期比1%増の3兆6397億円、営業利益が同59%増の796億円、税引前利益が同3%増の573億円、当期純利益が同32%増の231億円となった。
デジタルAV機器・携帯電話・FA機器などが好調に推移したものの、冷夏によりエアコンなどの季節商品が減収となったために、売上の伸びは前年同期比1%にとどまった。
松下電器産業は昨年度から市場占有率の向上を目指した戦略商品を「V商品」と名付け市場に投入している。2003年度も90品目を選定しグループ全体で約1兆2000億円の販売額を目指している。
決算説明会の席上、松下電器産業 常務取締役(経理担当)の川上徹也氏は「DVDレコーダーや薄型テレビなどのデジタル家電や電子レンジ、洗濯機などが好調で、前期のV商品の売り上げは約5650億円に達した。1兆2000億円の目標達成は難しくない」と語った。
松下電器産業 常務取締役 川上徹也氏 | |
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セグメント別に見ると、デジタルAV機器や携帯電話を扱うAVCネットワーク分野や半導体や電子部品などを扱うデバイス分野の営業利益率が大幅に改善している。
AVCネットワーク分野の売上高は1兆7265億円でPDPテレビ、DVDレコーダー、携帯電話、カーエレクトロニクス製品が増益、CRTテレビ、ビデオ、オーディオ製品などが減益になっている。
アプライアンス分野の売上高は5862億円で、洗濯機、電子レンジ、食器洗い機などが好調だったものの、冷夏の影響でエアコンとコンプレッサーが減益。食器洗い機は「NHKの『プロジェクトX』で取り上げられた翌週に非常によく売れ市場シェアが51%から61%に伸びた」(川上常務)という。
デバイス分野の売上高は5627億円で、半導体・液晶や電池が好調で、電子部品とモーターは減益となっている。連結対象の日本ビクターも好調で売上高が4037億と前年同期比で5%減少したものの営業利益は前年同期比15%増の101億円へと増加している。その他の分野ではFA機器が好調で前年同期比11%の増収となっている。
前期の業績を四半期ごとに見ると、第2四半期の営業利益が596億円と第1四半期の200億円に対して3倍近くに伸びており、「第2四半期以降勢いが出てきている」(川上常務)。また、松下電器産業の分析によれば「デフレによる価格下落の流れは止まっておらず前年同期からの価格低下による減益効果が1002億円に達しているが、V商品による合理化の効果が1166億円とそれを上回っている」(川上常務)という。
構造改革に自信
松下電器産業 代表取締役社長 中村邦夫氏 | |
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松下電器産業 代表取締役社長の中村邦夫氏は決算説明会の冒頭、「2003年1月から開始した事業ドメイン体制の成果が現れ始めてきた上半期だと思う」と述べ、グループ内の重複事業の見直しなどドメインごとの構造改革が進んでいるという認識を示した。
川上常務は、構造改革の具体的な取り組みとして、8月に社内カンパニーのモーター社が、国内生産縮小などの構造改革を行ない、中国市場でのブラシレスモーターの生産と拡販、ミネベアとの情報モーターの統合や、松下寿電子工業へのHDD用流体軸受けモーターの移管などの選択と集中による成長戦略を実行していることをあげ、「これが松下の構造改革の1つの模範的モデルになる」と語った。
中村社長も、従来から目標として掲げている営業利益率5%の実現時期については明言をさけたものの「構造改革の(業績上の)成果は2004年度に出てくる」と自信を示した。
2003年度通期の業績については、「円高の進行などもあり堅めに見て予想は変更しない」(川上常務)とし、従来通り売上高7兆4500億円、営業利益1500億円、税引前利益1200億円、当期純利益300億円の見通しを示しているが、「上方修正も視野に入れている」という。
なお、松下電器産業では今年が創業85周年にあたることから期末に1株あたり1円50銭の記念配当を出す方針を発表している。これによって年間の配当予想は従来の1株あたり12円50銭から14円に増える。
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