松下電器産業は10月1日、デジタル家電の普及に向け、安全性の高い技術の開発を強化すると発表した。次世代通信技術のIPv6、ネット家電サーバ技術、著作権保護技術(DRM)に力を注ぐ方針だ。また、具体的な技術として、デジタル家電をIPv6に対応させるための軽量モジュール、外出先からモバイル機器を利用して家庭内のデジタル家電を操作するための制御技術「KEBAB」の2つが発表された。
松下電器産業常務取締役の櫛木好明氏によると、2003年のデジタル家電の市場規模は1兆2500億円程度という。ただしこのうちのほとんどが携帯電話によるものだと櫛木氏は説明する。今後はAV機器やLモードなどの通信機器、白物家電などがネットワーク接続に対応し、2005年には5兆5000億円規模になるのではないかと櫛木氏は予測する。
櫛木氏は、デジタル家電が普及する上で最も重要な点は、ユーザーが安心して安全に利用できることだと語る。また、PCと異なり老人から子どもまで利用する家電では、誰でも簡単に利用できることが求められている。IPv6は接続が簡単で、アドレスが豊富にあり、セキュリティが強化されていることなどから、松下電器ではデジタル家電のIPv6対応を積極的に推進していくという。
松下電器産業常務取締役の櫛木好明氏 | |
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今回発表されたIPv6モジュールはメモリサイズが小さく、処理性能の低いデジタル家電にも対応するよう作成された。IPv6通信を行うソフトウェアと暗号処理を行うハードウェアで構成される。プロトコル処理のプログラムサイズを従来の3分の1となる70KBに軽量化した点が特徴だ。さらに暗号化処理をすべてハードウェアで行うため、処理性能の低いCPUを利用した場合でも通信速度が低下しないという。これにより、数十Mbpsの通信速度を必要とするような高精度な映像伝送にも対応できるとしている。
KEBABは松下が独自に開発した認証機能を利用し、家電機器に実装された「KEBABクライアント」と、宅外に設置された「KEBABサーバ」の間で相互認証を行う。これにより成りすましや改ざんなどを防げるとしている。
さらにKEBABでは誰でも簡単に利用できるよう、ルータの設定を不要にしている。クライアントが自動的にKEBABサーバに接続要求を行うため、グローバルIPアドレスの設定などをユーザーが行う必要がないという。さらに両者間の伝送路を維持することで、リアルタイムに機器の操作ができるようにした。
KEBABはすでに発売されているHDD内蔵DVDビデオレコーダの「DIGA」などに実装されているという。松下電器では今後、同社のデジタル家電に標準技術として広く搭載していく予定だ。
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