シャープは、同社の「プラズマクラスターイオン技術」にダニの死骸や糞によるアレルギー症状を抑える効果があることを検証できたと、9月3日に発表した。同社が広島大学大学院の先端物質科学研究科分子生命機能科学専攻グループと共同実験を行い、浮遊ダニアレルゲンを空中で失活させることに成功したもの。これにより同アレルゲンを吸入しても、アレルギー反応を起こさなくなるという。
プラズマクラスターイオン技術は、空気中に大量放出したイオンで浮遊するカビ菌やインフルエンザウイルスなどを取り囲み、化学反応によって増殖能力を失わせる(不活化させる)ことで空気を浄化する。イオン生成にはプラズマ放電を利用しており、空気中の水分子と酸素分子からプラスとマイナスのイオンをほぼ同数発生させる。
同社は、2002年4月から広島大学大学院の小埜教授/重田助教授グループと共同でダニアレルゲンに対する効果を検証する実験を行っていた。その結果、「イオンが空中に浮遊するダニアレルゲンに作用し、約15分でイオン濃度1万個/立方cmだと91%が、3000個/立方cmだと74%が失活して、アレルゲンの作用を抑えられることがわかった」(同社)。
イオン発生装置の運転中は継続的にイオンが生成され、まわりを水分子で囲まれて気流にのって部屋の隅々にまで届くので、すぐに消滅せず効果は持続するという。カビが増殖する際のカビ臭さやタバコの煙に含まれるNO(一酸化窒素)、ニオイ成分(酢酸、スチレン)に対しても分解効果がある。
「この空気浄化方式は、空気の汚れをファンの力で吸い込んでフィルターでろ過する“待ち受け型の方式”に比べ室内全体の空気をより効果的に清浄するので、フィルターで吸いこめずに淀みやすい空気に対しても直接働きかけられる」(同社)。さらに、フィルターの汚れで効果が落ちたり、フィルターを交換したりする必要がない、というメリットもある。
同社では、「プラズマクラスターイオン技術は、空中で積極的に浮遊ダニアレルゲンを失活する世界初の画期的なアレルギー対策」とし、「今後、異業種も含めさまざまな分野で積極的に事業を展開展開する」としている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」