米国カリフォルニア州サンノゼに本社を置く新興企業Canestaが、携帯型コンピュータ向けの光キーボードの概念を採用した新製品を発表した。
Canestaの最高技術責任者(CTO)、Carlo Tomasiは29日(米国時間)、サンディエゴで開催中の「SIGGRAPH 2003」で、完全な機能性を有する仮想キーボードを平面上に投射するチップセットを2004年に発売すると発表した。
Tomasiによると、日本のNECおよび北米のあるメーカーが、2004年末から2005年を目途に、Canesta製チップセットの携帯電話/PDA(携帯情報端末)への搭載を予定しており、すでに組み込み方法の検討に入っているという。
これまで小型で携帯可能なコンピューティング機器の大きな問題の一つとして、キーボードが指で操作するにはあまりに小さすぎるとの指摘があった。今回、SIGGRAPHの「Emerging Technologies」というセクションに展示されたこの光キーボードの主な目的は、まさにこの点を解消することにある。大半のスマートフォンやPDAには、不完全なキーパッドやちっぽけなキーボードが付いている。一部のアクセサリメーカーがPalm製ハンドヘルド機器で使用可能な折り畳み式キーボードを発売したが、携帯端末市場で大成功を収めたとは言い難い。
Canestaのキーボードでは、基本的にハードウェア面の問題が解消されている。Canestaのチップセットは、一面に広がる赤外線エネルギーを平面上に投射する光源、指の動きを感知するセンサー、赤色の仮想QWERTYキーボードを表示するパターンプロジェクタ、の3つの基本部分で構成されている。
このなかの重要部分であるセンサーは、まず光が投射された場所を特定する。そして反射面(ユーザーの指の裏側)の移動/停止についてのデータをプロセッサに送信し、プロセッサは受信したデータをキー入力に変換する仕組みになっている。
Canesta以外にも、すでにVirtual Devices(本社:ペンシルバニア州アリソンパーク)とイスラエルのDeveloper VKBの2社が、Canestaが展示しているものと同種の「投影型キーボード」を発表している。またスウェーデンのSenseboard Technologiesは、両手にはめたプラスチック製の装置で指の動きを読み取る仮想キーボードを開発した。
Canesta製キーボードは、音声認識システムと同様に、マスターするのに多少の訓練が必要だ。ユーザーは慎重に指を動かすと同時に、キーボードが投射される部分を常に片付いた状態に保つ必要がある。
「大抵の人は5分から10分もあればコツが掴める」とTomasiは説明している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス