IDC Japanは18日、国内のIT市場動向に関するセミナーを行い、HDDレコーダー市場の動向と予測についての調査結果を発表した。国内におけるHDDレコーダー市場は昨年後半より急激に成長しており、2002年の出荷台数は46万台、出荷金額が518億円となっている。
今回調査対象となったHDDレコーダーは、PCを除くものでHDDを搭載したテレビ録画機能を持つ製品。HDD単体レコーダーに加え、HDD&DVDレコーダー、HDD&VHSレコーダー、ホームAVサーバ、HDD内蔵テレビなどがこれにあたる。解説にあたったIDC Japanストレージメカニズムリサーチマネージャーの鈴木康介氏は、「HDDレコーダーはVHSビデオレコーダーの後継機しての地位を確保しつつある」と述べている。
現在国内のHDDレコーダー製品で80%以上を占めているのは、松下電器産業のDMR-HS2や東芝のRD-Styleなどに代表されるHDD&DVDタイプだ。これは、「DVDプレーヤーの普及率が飽和する前にHDD&DVDレコーダーが登場し、DVD需要との相乗効果があった」と鈴木氏は分析する。いっぽうHDD&VHSタイプは、VHS市場がすでに飽和状態なこともあり、HDDレコーダーにおける同タイプのシェアは8%と苦戦している。
IDC Japanストレージメカニズムリサーチマネージャー、 鈴木康介氏 | |
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さらに苦戦を強いられているのが現在シェア1%のHDD内蔵テレビだ。しかし鈴木氏は、「このタイプの製品の需要はテレビデオ程度にはあるだろう」としている。また、テレビデオと比較した場合、「ビデオが壊れると個人で修理することは困難だが、HDDはメンテナンスが簡単で、素人が交換することも可能」である点を指摘。さらに半導体の部品を2重に持つ必要がないため最小コストでの生産が可能で、今後シェアが拡大する可能性は高いとしている。
今後のHDDレコーダーの価格帯は、現在の8万円〜10万円から2007年には5万円〜6万円が中心となるだろうとしている。HDD&DVDレコーダーの部品価格に関しては、特にDVDドライブ部品のコストダウンが見込まれているが、半導体部品も参入メーカーが増えることで徐々に低価格化が進むとみられている。購入者の中心は2007年までは新規購入が中心で、同年の市場規模は500万台、普及率は30%に達すると予測している。
HDDレコーダーの普及によって、テレビの視聴方法に変化が現れていることも鈴木氏は指摘している。米国でも現在訴訟が起きているが、テレビCMをスキップすることが容易なため、放送時間をわずかにずらしてCMを省略した形で番組を視聴するユーザーが出てきたのである。このため「テレビの広告収入というビジネスモデルに変化が生じる可能性が高く、コンテンツの2次利用など新たなビジネスモデルを構築する必要がある」と鈴木氏は述べ、HDDレコーダー普及に対する課題を提唱した。
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