新興企業の米Corniceが直径1インチで1.5Gバイトのデータ容量を持つハードディスク装置、Cornice Storage Element(SE)を開発した。カメラなどの家電製品向けに開発したこのハードディスク装置は「これまでの小型ハードディスクやフラッシュメモリカードより低価格で、データ容量も大きい」(Cornice)という。
Corniceの製品に対して今後他社が競争を仕掛けてくるのは必至だが、電子機器メーカーは好意的な反応を見せている。家電業界においては、今、ハードディスク装置がいたる所で使われており、その重要性はこれまで以上に高まっているのだ。
韓国のSamsungは、CorniceのSEを搭載したデジタル・ビデオ・カメラを8月に米国でリリースする予定という。このカメラは先ごろ、消費者向け電子機器の展示会Consumer Electronics Show(CES)で展示された。技術仕様の詳細は不明だが、600ドル未満の価格で販売されるという。カメラのサイズは「タバコのパッケージ程度」(CorniceのCEO、Kevin Magenis)という。
SEを搭載した製品のリリースを予定している企業はすでに12社にのぼる。RCA/ThomsonやRioといったブランドのほか、5社の電子機器メーカーもSEを採用したMP3プレーヤーをリリースする予定だ。Corniceによれば、ある米国の大手小売業者はSEを搭載した韓国製プレーヤーを売り込む計画を立てている。また「これらの製品の販売は今四半期中に始まる予定」(Cornice)という。
SEの特長は、携帯用の電子機器には不必要と考えられるパーツを一切取りはらったことにあるという。例えば、SEは専用の内部メモリを備えていない。その代わり電子機器の他のコンポーネントがデータキャッシュのために共用するメモリを使用する。SEは嵌合のためのレールがなく、取り付けた電子機器から外すことはできない。マザーボードに直接取り付けられ、データ伝送はUSBポートを介して行なう。
SEは部品数が他社製品に比べ非常に少ない。MagenisによればSEの部品数は日立製作所の1インチ・ハードディスク、Microdriveの3分の1。ネジの数は他社の同等製品が12個程度あるのに対して、SEの場合はわずか3つという。こうした部品数の削減がコストの低減に一役買っている。米IBMの1インチ型マイクロドライブの小売標準価格は最低でも219ドルする。1Gバイトのフラッシュカードは約200ドルだ。これに対し、SEの1万個ロット時の単価は65ドルとなっている。
米In-Stat/MDRのアナリスト、Cindy Wolfは「SEは非常に大きな影響を与えると思う」と語る。「オーディオ市場について考えると、市場全体の活性化につながる可能性がある。SEの登場により、家電メーカー各社はやがて米Apple ComputerのiPodよりも安いハードディスク内蔵型プレーヤーを提供するようになるだろう」(Wolf)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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