ソニーは5月28日、2003年度の経営方針および2006年度までの経営戦略について説明会を開催した。会場には同社会長兼グループCEOの出井伸之氏をはじめ経営陣が参列し、前年度まで行われた第1次構造改革の成果と今後の取り組みについて説明した。
まず同社社長兼グループCEOの安藤国威氏は1999年度から2002年度まで行われた第1次構造改革の成果について説明した。安藤氏によると、不採算カテゴリーからの撤退、製造事業所の集約、アイワの吸収合併完了などに伴い、製造事業所数は1999年3月の70カ所から2003年3月には52カ所にまで減少したほか、在庫量は2000年3月に比べ2003年3月には37%減少、人員数も19%減少した。約1700億円をかけて行われた構造改革によって、エレクトロニクス部門だけでも年間1000億円ほどの固定費削減効果があったという。
2003年度から2005年度までの第2次構造改革では、
ソニー会長兼グループCEO
出井伸之氏
「垂直統合」で競争力を高める
今回の発表でソニーが最も強調したのが、成長領域での商品力の強化だ。ソニーでは自社で内製した半導体やモジュールを活用する「垂直統合」のビジネスモデルを推進し、利益率を高めていく方針だ。例えばデジタルカメラの「サイバーショット」やデジタルビデオカメラの「ハンディカム」などカメラ関連の業績が好調だが、これは社内の液晶ディスプレイやバッテリー、カメラモジュール、CCDなど内製デバイスを活用したことで収益性を高めている点が大きい。これらの内製デバイスを徹底的に強化し、営業利益率10%という目標を達成していく方針だ。
ソニーでは今後半導体事業への投資を積極的に進めていくという。2003年からの3年間で約5000億円を半導体の設備投資に注ぎ込み、エレクトロニクス製品向けシステムLSIやイメージングデバイスへ積極的な研究開発を進める。具体的にはPlayStation 3に搭載されると言われている65ナノミクロン技術を利用したネットワークプロセッサの「CELL」関連に約2000億円を投資するほか、イメージングプロセッサに約500億円、90ナノミクロン技術のデジタルカメラ用プロセッサに約1800億円を投資する。
液晶ディスプレイは自社生産へ方針転換
フラットパネルディスプレイ市場が成長を続けていることから、それまで他社から調達していた液晶ディスプレイ(LCD)を、自社生産に向けて積極的に投資するよう検討していることも発表された。実際に部品の調達が始まるのは2005年頃になる予定という。ただしソニーでは、フラットパネルディスプレイ市場の中心はLCDと見ており、プラズマディスプレイ(PDP)については引き続き他社からの調達を基本にしていく予定だという。なお、現在ソニーが開発を進めている有機ELやFED(Field Emission Display)などの次世代ディスプレイが市場に登場するのは2007年以降になる見通しだ。
同社副社長の高篠静雄氏は、「PDPやLCDに関して出遅れはあった」と述べ、年末に向けて製品ラインアップを拡充していく方針を掲げた。PDP/LCDのテレビは現在の7モデル発表されているが、これを24モデルにまで拡充する。2003年は台数ベースで前年比230%増を目指すとしている。
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