家電業界の巨人ソニーは、これまで何年も携帯ゲーム機分野を視野に入れてきていたが、技術と市場の状況が整うまで、参入を差し控えていた、と同社幹部が米国時間5月14日に語った。
「考えもなく参入して、単に他社の物真似をしたくはなかった」。Sony Computer Entertainment of Americaの平井一夫社長は、開催中のElectronics Entertainment Expo(E3)トレードショーでインタビューに答え、こう語った。「ソニーらしいやり方で、やってみたかったんだ。つまり、みんなのエンターテイメントの楽しみ方を劇的に変えるようなことをだ」。
ソニーは13日火曜日(米国時間)に、ポータブルゲームプレーヤーを開発し、過去10年以上にわたって任天堂が支配してきたこの市場へ参入する計画を発表した。今回発表された「PSP」プレーヤーは、来年後半の発売予定で、進歩した3Dディスプレイ、ソニーが開発した強力な新プロセッサ、そして独自の新しいメディアフォーマットなどの特徴を備えている。
ソニーは、これまで携帯ゲーム市場への参入を控えていたが、これはディスプレイやMPEGビデオ圧縮をはじめとする技術が望むレベルまで進歩するの待っていたためだと、平井氏は説明。望みどおりの技術を手に入れようとしたことが、ついにはUMDと名付けた、1.8GBのデータを収められる小さなディスクという、新たな光学メディアフォーマットの開発につながった。
自社のミニディスクやメモリースティックを含めて、既存の記録媒体はどれも、容量、価格などの点で納得のいくものではなかった、と平井氏はいう。「我々のニーズをすべて満たす光学メディアはひとつもなかった」(Hirai)
ソニーはまた、ゲーム市場全体のなかで占める自社のポジションが固まる時を待っていた。プレイステーションががっちりとトップの地位を築いたいまなら、ソニーが新たなタイプの機器を発表した時に、消費者もゲーム開発者もずっと信用してくれやすいだろう、と平井氏は説明。
「プレイステーションというブランドが消費者によい形で受け入れられており、いまならこの消費者との良好な関係を味方につけられる」(平井氏)
PSPは主に、任天堂のゲームボーイアドバンスという市場で先頭を走る製品と争うことになるが、Nintendo of AmericaのVPであるPerrin Kaplanは、PSPの登場を意に介していないようだ。「まだほとんど何も聞いていない。そして、PSPが人前に現れてくるのは18カ月も先のことだ。18カ月の間には、いろんなことが起こり得る」とKaplan。
PSPが実際どんなものになるにせよ、任天堂が価格を手頃なものに押さえ、家族向けのゲームを提供しながら築き上げてきた、ゲームボーイアドバンスのマスマーケットでの訴求力を、ソニーが手に入れることは有り得ないだろうとKaplanは語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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