ルクセンブルクのGemplusは、無線LAN用セキュリティプロトコルExtensible Authentication Protocol (EAP) 技術に関して、米Transat Technologiesと協力体制を敷いていることを明らかにした。EAPをGemplusのスマートカードに取り入れ、Wi-Fiと携帯電話ネットワーク間のローミングが可能なデバイスの開発を進めている。
スマートカードは携帯電話機の電池の裏に格納され、電話機の持ち主のアカウントや請求書情報などを記録する。GemplusのEAP搭載スマートカードは、AT&T Wirelessがテストを行ったのち、6月に出荷する予定だ。
Gemplusは、別のセキュリティ標準であるWi-Fi Protected Access(WPA)搭載のスマートカードをすでに開発している。WPAは、コーヒーショップなどの店舗内に向けたWi-Fiネットワークにおいて重要な要素になると期待される技術である。
一方EAPは、高度な暗号や1回限りのパスワードといった機能を通じて、WPAより強力なセキュリティ保護を提供する。EAPはセキュリティレベルの高いネットワークを必要とするオフィスなどで多く利用される見込みだ。Transatの最高経営責任者(CEO)のJohn Bakerは、「EAPは今のところ市場においてはごく小さな存在でしかないが、多くの企業がEAPに興味を示しており、将来的な見込みがある」と積極的な展望を語っている。
GemplusとTransatの目標は、Wi-FiとGSM式携帯電話ネットワーク間のローミングを容易にし、両ネットワークの利用を1種類の請求書にまとめることだ。しかしこれを実現するには、いくつかの課題をこなさなければならない。まず必要なのが技術の開発だ。両社は現在、電話やノートパソコン、PDAでWi-Fiと携帯電話ネットワークの両方を利用できるようにするため、技術開発を共同で行っている。
また、技術分野以外の問題も解決しなくてはならない。特に、さまざまなホットスポットや携帯電話会社は、ライバルに自社ネットワークの利用を許可する必要がある。このローミング契約はハードウェアの開発よりも困難かもしれない。「携帯電話業界でローミング契約が結ばれるのに10年かかった。同じことを繰り返すには、もう10年かかるかもしれない」と、米Jupiter ResearchのアナリストのJoe Laszlo は指摘している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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