米Microsoftはまもなく、Windows Media 9 Seriesの最終版をリリースする。同製品はデジタルオーディオやビデオファイルの開発、配信、再生を可能とするソフトウェア。同社は、パソコンやコンシューマーエレクトロニクス製品におけるデジタルエンターテインメント分野への進出を狙っている。
Windows Media 9のオーディオ/ビデオ圧縮ソフトウエアやコーデック技術をWindows以外のソフトウエアやハードウエアにもライセンスするという動きは、Microsoftがコンシューマーエレクトロニクス製品にも勢力を拡大しようとしていることを示している。「Windowsに切り替えなくてもソフトウエアが利用できるとあれば、Linuxを利用している携帯電話機メーカーやウェブパブリシャーなどもMicrosoftのメディア技術を利用するようになる」――Microsoftはそう期待しているのだ。
Microsoftは現在、成長著しいコンシューマー向けのデジタルメディア市場にターゲットを向けている。同市場では、MPEG-4などの新しいデジタルメディア・フォーマットが台頭してきている。これらは、大容量のデジタルファイルを圧縮する標準的な技術で、ファイルを簡単に送受信できるようになる。
今回発表になったWindows Media 9のビデオ圧縮技術のライセンス料金は、1デコーダーにつき10セント、エンコーダーについては20セントになる。デコーダーとエンコーダーの両方を使う場合は25セントとなる予定。ちなみに、MPEG-4の特許を保有する企業が設立したコンソーシアム「MPEG-LA」は、エンコーダー、デコーダーともに25セント、両方を利用した場合は50セントを徴収している。
しかし、Microsoftが割安な料金設定をしても、コンシューマーエレクトロニクス製品では厳しい戦いを強いられるだろう、とアナリストらは指摘する。なぜなら多くの企業は何でも自社でやってしまうMicrosoftの貪欲な競争心に脅えており、ソフトウエア業界の怪物であるMicrosoftとは提携したくないと考えているのだ。
また、今回のMicrosoftの動きは、MPEG-4を支持する米Apple Computerとの戦いを激化させると指摘するアナリストもいる。
Microsoftは今回、Windows XPとMovieMaker 2用のPlus! Digital Media Editionもリリースしたが、これはライバルであるAppleのMac OSを意識した製品だ。
「Microsoftは、Windows Media 9 SeriesとWindows Moviemaker 2、そしてDigital Plusを組み合わせることで、『デジタルコンテンツのハブとしてもWindows XPはAppleに劣っていない』と主張したいのだろう」と米Jupiter Researchのアナリスト、マイケル・ガーテンベルグは指摘している。
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