ソーシャルネットワークサービスがかなりの速度で普及しつつある現在、企業も人も、ネット上で信頼を獲得することが、重要な要素となっている。インターネット上で利用できるサービスは、今まで物理的に結びつきにくかった人々を結びつける。そのため、ごく簡単に企業と人が繋がるようになった。そのような新しい時代には、新しいビジネスのやり方がある。
著者は、Web 2.0以降の世界では、物理的なお金そのものよりも「その人に対する評価の証」のようなものが重要であるといい、作家のコリイ・ドクトロウのSF小説に出てくる「ウッフィー」という言葉を軸にしている。ウッフィーは、お金で買えるものではなく、ネットワークで結ばれた人同士の間の信頼や尊敬、影響力などが、徐々に積み重なって生まれるという。
本書を読めば、このウッフィーを生み出す基になるブログやTwitterなどのオンラインサービスを、どのようにビジネスに利用すればいいのか、多くの成功事例と失敗事例から学ぶことができる。ここで重要なのは、初めての試みに対して、失敗を恐れずに行動に移すことであり、「問題は失敗をすることではなくて、やってしまった失敗にどう対処するかということ」である。
第9章では、初めての取り組みにつきものの「無秩序」を、覚悟して受け入れたからこそ、良い結果が得られた事例を示しながら、「具体的な目標設定や達成度を測る指標」として11のアドバイスを挙げている。これらは企業でソーシャルネットワークサービスを利用しようとする場合、必読だ。今後ますます、企業はオンラインコミュニティから影響を受け、ウッフィーなしでは生きられないだろうという。すでに日本でも、ソーシャルネットワークサービスを利用して成功している企業が出てきているのだから。
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