オンラインショッピングで靴を買ったり、医師に非公開のメッセージを送ったりするのに使われている暗号化技術だが、犯罪者やテロリストが通信を隠すことができるため、政治家や警察はこの技術を嫌っている。
それでも、ハイテク業界にとって暗号化が重要な偉業であることに疑いの余地はない。米国時間3月2日、今日の暗号化技術を考案したWhitfield Diffie氏とMartin Hellman氏の2人が賞金100万ドルのチューリング賞を受賞した。
コンピュータ技術がわれわれの日々の行動に深く組み込まれた現在、難解な技術が人々の日常生活に大きな影響を与えていることを両氏のチューリング賞受賞は裏付けている。暗号化は電子商取引で利用され、企業が世界各地の提携企業と安全にチャットしたり、結婚について配偶者と話し合うようなプライバシーの保護にも使われている。政治家と警察は暗号化ではない方法をプッシュしようと試みているが、米国防長官のAsh Carter氏は米軍も大規模に暗号化技術を使っており、強力な暗号化は「好ましいことだ」と述べている。
暗号化はこの2週間、 米連邦捜査局(FBI)とAppleが繰り広げている対立により大きな注目を浴びている。カリフォルニア州サンバーナーディーノで2015年12月に発生し14人の命を奪った銃乱射事件で、テロリストらはパスコードで保護されているiPhoneを使ってやりとりをしていた。捜査当局は暗号化された情報を取得しようと、Appleに対しiPhoneをアンロックするソフトウェアを構築するよう求めている。Appleは強い暗号化技術を使ってプライバシーを保護する考え方を重視しており、FBI向けにアンロックできるソフトウェアを構築することは「世界中の多くの人の関心である基本的なセキュリティとプライバシーを軽視するものだ」と述べている。
このようなAppleの考え方をGoogle、Microsoft、Facebookも支持している。これらの企業は、Edward Snowden氏が暴露した米国政府によるインターネットの監視プログラムにより痛い目にあっている。
ディフィー・ヘルマン(DH)鍵共有のアプローチは秘密鍵と公開鍵という特別な鍵のペアを使う。これにより、送信する側と受け取る側が事前にお互いのことを知らなくても暗号化通信ができる。たとえば事前にAmazonのオフィスを訪れて共通のパスワードを取り決めることなく、Amazonのウェブサイトでクレジットカード情報を秘密に維持できる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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