インプレスR&Dは11月24日、カスタマイズ型電子出版・オンデマンド製本流通サービス「libura PRO(ライブラプロ)」を開始。11月29日に同社と同サービスの技術基盤となる「libura(ライブラ)」を運営するライブラネオが説明会を開催している。
libura PROは、企業で必要とされる専門情報をPDFファイルと書籍の両方の形態でオンラインで購入できるサービス。1冊の書籍単位で購入できるが、書籍の「章」の単位でも購入できる(同社では“マイクロコンテンツ”という言葉で説明している)。書籍1冊だと数万円するが、章単位だと数千円で購入することができる。別の書籍の章同士を組み合わせて並び換えるなどのカスタマイズも可能だ。
カスタマイズされたものは「世界で1冊だけの読者による“オーダーメイドブック”」(インプレスR&Dプロジェクト統括マネージャーの桐谷和幸氏)になる。libura PROでカスタマイズされた書籍は、大日本印刷のプリントオンデマンド(POD)を活用して、実際の紙に印刷、製本して読者の手元に納品される。オンデマンド製本代金は、200ページで4000円、800ページで1万円という価格だ。
libura PROでは、インプレスR&Dが発行する「SaaS利用動向調査報告書」や「ケータイ利用動向調査」、「インターネット利用動向調査」などの各種産業調査レポート38冊(章単位では222点)を用意している。同社は、ほかの版元にも声をかけて、異なる出版社同士の書籍を組み合わせて製本、販売することも想定、「今後4〜5社程度の版元に声をかけていく」(桐谷氏)という。
カスタマイズ機能を活用すれば、読者が必要としている章だけを抜き出して、出版社の垣根を越えて、自分だけのオーダーメイドブックを作れる。こうした「読者のニーズに応える仕組みは、これまでの出版概念になかった事業モデルであり、新しい潜在ニーズを発掘でき、出版業界の新しい売り上げ機会を創出できる」とインプレスR&D代表取締役社長の井芹昌信氏は説明している。
libura PROの仕組みが有効とするコンテンツは産業調査レポートのほかに、大学の教科書などの教材、企業や業界団体の報告書や白書、実用書、医学などの専門書を想定。企業が所有する専門情報やマニュアルなども対象になるとしている。
libura PROは誌面の表示にSilverlightを活用、表示する各ページの55%を閲覧できる「マスク処理」で「簡易DRM(デジタル権利管理)を採用している」(桐谷氏)。登録されているコンテンツを対象にした全文検索もできるが、目次と索引を対象にした検索もできる。目次と索引は「編集者が時間をかけて作り出した、情報を集約した“タグ”。これを検索対象にすることで、検索エンジンを超える高度な検索システムになる」(井芹氏)という。
決済方法はクレジットカードのほかに銀行振込にも対応している。見積もりや請求書、領収書のオンライン発行にも対応している。これは「企業を対象にしたサービスであることから、オンライン決済でも企業のニーズに対応した」(桐谷氏)としている。
ユーザーがカスタマイズで作成したオリジナル書籍は、1回だけ印刷、製本することができる。これは、著作権者に配慮したものだが、「将来的にはたとえば1冊で3回まで印刷、といったこともあり得る」(桐谷氏)という。
libura PROでは、章単位で販売するが将来的には「(章より細かい)節での販売もあり得る」(桐谷氏)と説明。井芹氏は「コンテンツをマイクロ化したことで本というパッケージから解放した。コンテンツは自由であり、いつでも別のパッケージの“部品”にすることができる。“ワンソース・マルチユース”を実現できる」と、libura PROの可能性を説明している。
libura PROの基盤には、ライブラネオが運営するソーシャルドキュメント共有サービスのliburaを活用。ライブラネオは、ネオジャパンとビットアイルの合弁企業。liburaとlibura PROのプラットフォームはビットアイルが提供している。
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