「政府を含んだ共同出資によるアクセス回線会社を設立する」
ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は10月25日、「光の道構想」の実現に向けた新提案としてこのように語った。光の道とは総務省の掲げている成長戦略で、2015年までに全世帯でブロードバンドサービスを利用できるようにする内容。
NTTでは光の道を実現すべく、既存のメタル回線と光回線を並行して提供していく方法を打ち出している。それに対し、ソフトバンクは一気に光回線を普及させたい考えだ。
そこで孫氏が新たに提案するのが、政府、NTT、KDDI、ソフトバンクの共同出資によるアナログ回線会社の設立だ。NTT東西が運営するアクセス部門の資本を分離し、5000億円増資して運営する。資本構成は、NTT株を約2兆円保有する政府がその内数として2000億円を出資し、NTT、KDDI、ソフトバンクが1000億円ずつ出資する。
「新会社の株主構成はあくまでも例として挙げている。この案に乗らない会社があれば、乗る会社だけでやればいい。ソフトバンクは資本のリスクをとって積極的に実現していきたい」
現在、NTT東西のアクセス部門は年間で約2900億円の赤字となっている。孫氏は、NTT東日本のメタル回線うち60%が設置から20年以上経過していることを挙げ、回線の保全費は赤字の垂れ流しだと指摘。メタル回線を全撤去しエリア単位で一括工事することで、年間費用を7100億円削減し赤字を2300億円の黒字に転換できるとした。また、これまで5000円近く支払っていた光のブロードバンド料金を地域に関係なく全国一律1150円で提供できると意気込む。
「ADSLの時と同様に日本で世界一安く、高速な光ファイバーを国民全員が利用できる。ADSLの躍進をもう1度実現する」
NTTは9月1日、ソフトバンクが提案していた光の道ビジョンに対し、具体的な数値を提示した上で維持費などが過少計上であると反論した。これに対し孫氏は数字を持って再反論する。NTTの指摘に対してソフトバンクも認めるものに関しては費用を見直し、その他の費用についてはソフトバンクの過去の実績から当初の試算で実現できるとした。
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