Googleが、データ転送遅延を軽減するという技術を普及させようとしている。それによって「Chrome」をウェブ変革のツールにする計画だ。
この技術は「False Start」という名称で、暗号化接続を確立する際のブラウザとウェブサーバ間の通信を1往復分減らす機能を備える。これはかなりの時間の節約だ。米国内の通信では約100分の7秒、カリフォルニアから欧州への通信では10分の1.5秒の時間短縮になる。
さらに良いことに、通信の改善を目的とした多くのプロトコル改良と違って、ネットワーク接続の両サイドに変更を加える必要もない。変更が必要なのはブラウザ側のみだと、False Startの開発者の1人であるAdam Langley氏は述べている。当然ながらGoogleはすでに、False StartのChromeブラウザへの組み込みを開始しているようだ。Chromeのコマンドラインスイッチのリストを見ると、False Start機能を無効にするスイッチがある。
誰もが高速化の恩恵をただで受けられるとは、すばらしい話だ。とはいえ、そこには問題点が1つある。
「この変更を行った結果、ネット上のウェブサイトの約0.05%に問題が生じることを認識している」と、Langley氏はブログ投稿で述べている。
0.05%なら多くはないと思うかもしれないが、Netcraftの計測では、9月現在で2億2700万のウェブサイトが存在している。全体に占める割合は小さくても、Netcraftの集計を基にした絶対数で考えれば、約11万4000のサイトでFalse Startが正常に機能しないことになる。
しかし、それでくじけるGoogleではない。逆に、この件を同社が考えるウェブの問題点を正す好機と見ている。
Langley氏は次のように述べている。「Chromeはいまだ理想を追求している。つまり、(より上位のインターフェースレベルで問題を覆い隠そうとするのでなく、)下位レベルで変更を加え、それらを正常に機能させようとしているのだ」
そのため今後、Chromeにはブラックリストを実装し、正常に機能しないサイトではFalse Start高速化機能を無効化する一方、Googleはそうしたサイトとコンタクトをとり、アップグレードを促すことになるという。
Langley氏は、Googleがこのアプローチをとることで、新しいウェブサイトが問題につながる先行サイトの例に倣うのを阻止できるとして、次のように述べている。
ブラックリスト化には2つのメリットがある。第一に、問題のある新たなサイトの増加を抑制できる。初めから正常に動作しないサイトと、以前は正常に動作していたサイトとでは大違いだ。
第二に、問題のあるサイトとコンタクトをとれる。多くのサイトのどこに問題点があるのか、われわれはすでにかなりのところを把握しており、関係者とコンタクトをとって、解決策を練っている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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