シトリックス、デスクトップ仮想化製品「XenDesktop」に「XenClient」を正式採用

岩本有平(編集部)2010年09月28日 17時52分

 シトリックス・システムズ・ジャパン(シトリックス)は9月27日、デスクトップ仮想化製品の最新版「Citrix XenDesktop 4 Feature Pack 2(FP2)」を発表した。9月末より発売を開始する。

 FP2では、これまでRC版を提供してきたクライアントハイパーバイザ製品「Citrix XenClient(XenClient)」を正式に搭載。さらにセキュリティ製品の「Citrix XenVault(XenVault)」を搭載して、ノートPCを利用する場合などモバイル環境に向けた機能を強化した。

シトリックス・システムズ・ジャパン副社長の木村裕之氏 シトリックス・システムズ・ジャパン副社長の木村裕之氏

 シトリックス副社長の木村裕之氏は、サーバ仮想化に加えて、デスクトップ仮想化への関心が高まっていると説明する。同社では、ニッセイ情報テクノロジーに1万ユーザー規模のデスクトップクラウド環境を導入したことも発表している。

 今回発表したFP2のXenClientは、仮想デスクトップのオフライン利用を想定した製品。木村氏は「多くの企業で課題となっていた『PCの外部持ち出し禁止』という制約を解決していく」と説明する。「自社が掲げる『Flex Cast』のコンセプトが実現できた。(2製品により)コーポレートの環境をよりセキュアに使える。(シトリックスは)社外に持ち出したPCでも情報漏えいや盗難リスクを解決できる唯一のプレーヤー」(木村氏)

 シトリックス マーケティング部担当部長の北瀬公彦氏は、2014年までに全クライアントの72%がノートPCになるという調査データを紹介。中でも日本はその傾向が高く、「オフィスPCのモバイル化は生産性を向上させる戦略的な急務となっている」(北瀬氏)と説明する。その一方でノートPCの持ち出しによって、置き忘れや盗難、社外でのウイルス感染といったリスクがあることを挙げ、FP2に搭載する2つの機能の重要性を説明した。

  • XenClientの機能概要

 XenClientは、オープンソースソフトウェア(OSS)である「Xen」やシトリックスが開発する「XenServer」の技術をベースにした、ベアメタル型のクライアントハイパーバイザ。インテルのvProテクノロジーを採用しており、現時点では同技術に対応したPCのみで利用できる。

 ベアメタル型でホストOSを必要としないため、ホストOSのリソース消費やウイルス感染などを意識する必要がなく、高いパフォーマンスとセキュリティを実現できるとしている。また1台のクライアントPC上で複数OSを同時に利用することが可能。立ち上げた複数のOSは、キー操作1つで切り替えられる。加えて、あるOS上のアプリケーションを別のOS上で表示して利用するといった操作にも対応する。

 サーバ上で動作するバックアップツール「Synchronizer for XenClient」と連携して、仮想マシンの自動バックアップが可能。クライアントPCの故障時には、サーバ上の仮想マシンイメージをダウンロードして別のマシンで復旧できるほか、盗難時にはデータをリモートで消去することもできる。

 一方のXenVaultはクライアントPC向けのセキュリティ製品。暗号化されたディスク領域を作成し、XenDesktopで配信されたアプリケーションで使うデータを暗号化領域に保存させることで、情報の漏えいを防ぐ。管理者が設定した期間が過ぎた場合やPCの紛失、盗難時には、暗号化領域をリモートで削除できる。「Citrix Receiver」のプラグインとして提供される。

 XenClientのベアメタルハイパーバイザは無償。管理機能であるSynchronizerを使用する場合、10デバイスまでは無償だが、11デバイス以上で利用する場合はXenDesktop Enterprise/Platinumの契約が必要。XenVaultはReceiverのプラグインとして無償で利用できる。

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