国産ブラウザ「Lunascape」を開発するLunascapeは米国時間7月29日、自社初となるiPad向けアプリ「iLunascape」を公開した。App Storeにて無償提供する。
iLunascapeはiPad専用のブラウザアプリだ。ブックマークへの登録ボタンやアドレスバーなどを除き、タブやタブ追加などの操作ボタンを画面下部に配置している。このインユーザーターフェースを採用することで、iPadを両手で持った際に自然な操作ができるという。
レンダリングエンジンにWebkitを採用する。Lunascapeではこれまで、PC向けにTrident、Gecko、Webkitの3つのレンダリングエンジンを切り替えて使用できるブラウザを開発してきた。このノウハウを元に、「Safariよりもなめらかな動作を実現し、PC同様のタブブラウジングを実現した」(Lunascape代表取締役社長CEOの近藤秀和氏)という。
通常iPadのSafariでは、複数のウェブページを閲覧する際、アクティブな(閲覧中の)ページ以外はバックグラウンドで動作しない。また、アクティブなページ以外でどんなページを閲覧しているかは、タブ切り替えのボタンを押下しないと確認できない、いわば疑似的なタブ表示になる。
しかしiLunascapeではPCのタブブラウザ同様、バックグラウンドのタブが動作する。そのため、あるタブでYouTubeの動画を再生して、バックグラウンドで音楽を聴きながらほかのページを閲覧するといったことができる。また、アクティブなページ以外のタブの内容も画面下部に常時表示される。タブは最大6つまで表示できる。仕様上はこれ以上の数のタブも表示できるが、処理速度を考慮して制限しているという。
そのほか傾きによる回転機能のオンオフ、前回表示したタブの復元、表示画面のキャプチャーといった機能を備える。
今ではごく当たり前となった“タブブラウザ”だが、近藤氏によると、タブの切り替えをブラウザ上部で行う仕様を採用したのは、Lunascapeが初なのだという。「最初のタブブラウザである『NetCaptor』などでは下部に付いていたタブを、人の目の動きやマウスの動線などを考えて上部に設置した」(近藤氏)。今回再びタブの操作を下部に持ってきたことについては、「iPadを両手で持って操作する場合、上部まで手を伸ばして操作ボタンやタブがあると持ち方が不安定になる。(タブを上部に設置した)当時、ユーザーからの反発もあったが、最終的に多くのブラウザがタブを上部に設置するに至った。デバイスに最適な形として理解してもらえるのではないか」(近藤氏)
操作ボタンには画像と文字を表示している。本来アップルのガイドラインでは、機能を切り替えるボタンに文字をつけることは推奨されていないそうだが、ITリテラシの高くないユーザーにも配慮してこの仕様にしたという。ただし、アドレスバーや検索ボックスについては、Safariとの親和性を考慮して、上部に配置した。
Lunascapeでは、「iLunascape開発日誌」にて開発状況を公開する。またTwitterのハッシュタグ「#ilunascape」を使ってユーザーの要望やフィードバックを受け付けるという。
今後は英語やフランス語、ドイツ語、中国語(簡体字、繁体字)版を提供するほか、PC版Lunascapeとのブックマーク連携機能などを実装する予定。iPhone版についても開発中だという。
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