シャープは7月20日、現在の電子書籍フォーマットXMDF(ever-eXtending Mobile Document Format)を高機能にし、動画や音声にも対応した次世代電子書籍フォーマット「次世代XMDF」を開発したと発表した。年内にも配信サービスを開始するほか、独自のタブレット端末を投入し、本格的に電子書籍事業に参入する。
シャープの予測によれば、日本国内における電子書籍専用端末の販売台数は2010年度に110万台、2011年度には520万台、2012年度には750万台に上るという。世界では2010年度に1800万台、2011年度には4000万台、2012年度には5600万台と予測しており、この2〜3年でさらに急速に成長すると見る。
日本国内のみならず、海外での需要も高まっていることから、世界展開も同時に進めていく考えだ。まだ最終合意には至っていないとしながらも、第1弾として米国の携帯電話事業者であるベライゾン・ワイアレスと電子書籍のパートナーシップ契約を詰めている段階として、ベライゾン・ワイアレス バイスプレジデントのアンソニー A.ルイス氏がビデオレターを寄せた。詳細は決定次第発表するという。
現在主流となっているXMDFは、携帯電話を中心に7000万台以上の端末に搭載されている。主に、ケータイ向け小説(テキスト)やコマ割コミック(画像)を中心としたコンテンツで使用されており、著作権保護、日本語特有の縦書き、ルビ、禁則、外字に対応するといった特長がある。
次世代XMDFは、(1)インタラクティブ性、(2)表現力の向上、(3)リアルタイム性、(4)グローバル対応の4つの特長を持つ。端末ディスプレイの大型化や高精細化、3GやWi-Fi、LTEといったインフラの発展を受けて、コンテンツ中への動画や音楽を埋め込み、自由なレイアウトを可能にするなど、高精細な画面を生かした表現力を持つという。
さらに、制作面でも効率化を図った。次世代XMDFはアドビシステムズのDTPソフトウェア「InDesign」に対応し、InDesignのデータを変換して電子用のXMDFデータを作成できるという。紙の書籍と電子データを効率的に作成できるほか、電子データは自動で決まった時間に定期配信を行うことができる。定期配信された新聞や雑誌などのコンテンツは、地下鉄など電波の届かないところでも読めるなど、利便性も高めたという。
また、1つのコンテンツをさまざまな画面サイズを持つ機器に合うよう、レイアウトを最適化する、「ワンソースマルチユース」を実現したとしている。
タブレット端末については、2つの試作機を披露。小さいタイプの端末の液晶画面は5.5型でスマートフォンのような形状だ。大画面のタイプは10.8型という。端末の詳細についても、別途改めて発表するとした。
なお、協力を検討している会社として、大日本印刷や凸版印刷、ビットウェイ、モバイルブック・ジェーピー、海外取次会社としてリブレデジタルの名が挙げられた。新聞社としては毎日新聞社、日本経済新聞社、西日本新聞社を名を連ねたほか、雑誌媒体としては週刊ダイヤモンド、日経ビジネス、プレジデント、週刊東洋経済らが検討しているとのことだ。
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